過去ログ - 奈緒「…この姿、凛にも見せてやりたいな」可蓮「あっ、りーんー!」
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11:名無しNIPPER[sage]
2015/07/07(火) 19:06:50.40 ID:cq31HMZB0

にしても、あっという間に仕事モードに入るのは、同業者として尊敬する。カッコいいし、……羨ましい……なんとなく、胸の奥が重い。すると思い出すのは、カメラマンさんの困ったような声ばかりで、首をふる。……最悪だ。
帰ろうかと一度は扉向こうを見たものの、壁越しにもれ聞こえる二人のNation Blueを聞いていると、せめてもう少し位、会話を交わしたいなと思った。プロデューサーは探しても見当たらないから、もしかしたら、二人なら居場所を知っているかもしれないし。

基本的にドリームライブは一度出番が終わったら、メインに据えられるアイドルたちを除いてそのまま帰宅となる。反省会は後日。多くのアイドルが夢のような組み合わせで出るための、スケジュール調整の措置の一つだ。二人のライブ終了まで十数分待って、舞台の格好のまま、お喋りをしつつ歩いてくる二人の前にひょこっと出る。

ライブの時と変わらず、やっぱり二人は服も合間ってキレイだった。でも、ライブの時とは雰囲気が全然違う。あのカッコよさや美しさみたいな、そういうオーラは、もう感じない。…ああ、やっぱり、二人はアイドルだ。舞台の上で、豹変する。言えば笑って、自分達はまだまだだと否定するんだろう――とか思いながら、冗談混じりの労いの言葉を送る。

「お疲れさま。二人とも結婚するんだ、祝福するよ?」

すると、私がいるとは思わなかったのか、加蓮が目を開き、奈緒が露骨に反応する。

「り、凛……!イヤ別に、この服はな!け、結婚したいとかすっすす好きなヤツとか居るわけじゃないから、」

「フフ、ありがと、凛。必ず奈緒と幸せになるからね……!」

「って加蓮かよ!何でウエディングドレス同士なんだよッ!」

わざとらしく腕にしがみついた加蓮をぐいぐい引き剥がしつつ、奈緒がそうほえた。疲れを見せない、キレのあるツッコミだ。ひっつきながら加蓮がこちらを見上げてくる。にこにこ笑顔で、

「そうそう、凛が来てくれて嬉しかったよ!」

「ホント、よく、気付いたよね…スゴいよ」

「ねぇ、仕事はどうだった?」

「え?あー…ん、まあ、大丈夫だった、よ」

意識しないよう――でも、ほんの少し歯切れ悪くなってしまったまま言えば、けれどライブで高翌揚している加蓮はそっか、とふわふわ相槌を打つだけで気付かなかった。ちらりと奈緒の視線を感じたけれど、軽く目を伏せて誤魔化す。

「てか、待っててくれたんだな、凛」

何か言われるかと思ったけれど、私を見て、奈緒はただありがとなと笑う。不意打ちもあるけれど、別に感謝されるつもりはなかったから、そう言われるとなんだか照れ臭くて困る。

「ホントだ、凛ってば帰っててもよかったのに、見に来てくれただけじゃないなんて優しいじゃん。もう終わりだから、後少し待っててよ!一緒に帰ろ♪」

すると一転、ばっと奈緒から離れたと思えば、今度は私の腕をとってくるくる回る。つられて私もくるくる。やけにご機嫌だ。ライブしただけとは思えない位のご機嫌具合。

「とと……奈緒。加蓮てば、何かあったの?」

「……さーて、な?」

問われた奈緒はにや、と意味ありげに笑って、浮かれる加蓮の背を、ほらほらと楽屋の方へ押した。

「てか、あたしらはもうすることないんだから、早めに退散しねーとな。ほら、早くいくぞ、かれんー」

「わっ、押さないでよ、もー!」

「……?じゃあ、後で楽屋行くね?着替えあるだろうし、しばらく時間潰してるから」

「おう、分かった。後……詳細が気になるなら、ソコの人にでも聞いてみろよ。ついでに、気になることがあるなら言っておけ。あたしらよりは頼りになるだろうよ」

「ソコの人?って、奈緒も加蓮も頼りになるけど」

「お、おう。嬉しいこといってくれるな……」

奈緒がアゴでくいっと指した先を振り向いても、沢山の扉が並ぶ廊下、何処だか詳しく分からない。問いただそうとすると、そう恥ずかしそうにする奈緒。質問を忘れてしまうくらい、相変わらずいじりたくなる。さっさと先に歩いていた加蓮が私を呼んだ。



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