過去ログ - 【安価】あなたはスクールアイドルになってもいいし、ならなくてもいい
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153: ◆Wx.aqWgC92[sage]
2015/07/21(火) 00:20:24.59 ID:eLoUBmPSo
　沈黙が場を支配する。何を口にすればいいのかがわからない。
　聞きたいこと、いいたいことは山ほどあるのに、脳が出力を拒否している。
「海未ちゃんはさ、高校卒業したらどうするの」
　不意に姉が口を開いた。
「……大学へ行くつもりでしたが」
「その後は？　大学へ行って、卒業したら？」
「それは……」
　私は、どうするつもりだったのだろう。ただ漠然と大学へ行くことは決めていた。その後は働きに出るのか、家督を継ぐのかすら曖昧だった。
「アイドルは、続けないの」
「――……」
　それは、考えてもいなかったことだ。アイドルを続ける。スクールアイドルでなく、本当のアイドルとして。
　私が？　できるだろうか。
　……できるのだろう。それだけの功績を、私は、私たちは持っている。
　かつて、全てのスクールアイドルの頂点に立ったグループ。その一員。
　事実、卒業していった三人には、アイドル事務所のスカウトが来たらしい。
「秋葉でのライブ、見たよ。テレビの中継でだったけど」
「そう、ですか」
「驚いたよ。スクールアイドルやってたのは聞いてたけど、まさかあんなに凄いとは思わなかった」
「はぁ」
「それで、とっても楽しそうに見えた。ねぇ、海未ちゃん。私の言えたことじゃないけど、やりたいことをやってもいいんだよ」
「私が日舞をやりたくないと、そう見えますか」
「ううん。そうは思わない。でも、他の選択肢を見ないようにしてるでしょう？」
「そんなことは」
　ないといいきれないのが、私の駄目なところなのだろう。
「私はさぁ、なんていうか、この家のいろんなものを海未ちゃんに押し付けてきたわけだけど、それはいけないって思ったんだよね。今更だけど」
「本当に、今更ですね」
「本当にね。まぁ、海未ちゃんがそれでも園田を継ぐっていうならそれもいいと思うし、何か別のことをやるっていうのもいいと思うよ。少なくとも、私は応援する」


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