10:オータ ◆aTPuZgTcsQ[saga]
2015/07/13(月) 18:01:34.68 ID:pbmAn6xEO
相変わらず保健室通いを続ける僕に、ある変化が訪れた。
僕が失踪した時に教室に行ってないことがバレて、母が幼稚園に文句をつけにきたのだ。
いっそ怒鳴りこんでくれれば、少しは僕に同情が集まりそうなのに、無駄な知性を溢れさせて母は担任と対峙した。
「あの子が少し変わっていることは分かっています。
教室に向かわせるのも苦労するでしょう。
ですが、あの子には妹がいるんです。
妹までクラスに馴染めなくなってしまうのは、可哀想で仕方がありません。
どうか、先生方も協力して頂けないでしょうか」
僕は驚いた。
妹の立場なんて、これっぽっちも考えていなかった。
そして、僕は、笑った。
「先生、僕はもう大丈夫です。ちゃんと教室に行きます」
担任は、責任感と面倒事に関わりたくない気持ちのはざまで揺れていた。
だけど、僕の笑顔で少し安心したのか、向こうも笑顔を返してきた。
そのとき僕は、無意識に自分の成長を止めた。
二十年、幼稚園児のまま、僕は生きていくことになった。
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