6:オータ ◆aTPuZgTcsQ[saga]
2015/07/13(月) 17:54:41.43 ID:pbmAn6xEO
話題に困った僕は、ふと女の子に親のことを聞いてみた。
「二人ともいい人よ」
女の子はそれ以上語らなかった。
僕はぼんやりと、昨日あったことを話した。
「じゃあ、やっぱり許可はとれてないって訳ね。
なのに、なんで抜け出したりしたのよ」
「誰かと海に行きたかったんだ」
なぜか、君ととは言えなかった。
また無言でてくてく歩いていくと、女の子は唐突に言った。
「ねぇ、私は宇宙人だって言ったら、アンタは信じる?」
「え?」
僕はやっぱり意味が分からない。
だけど、女の子は初めて笑った。
「信じないわよね。別にいいんだけど」
その笑顔は少し悲しげに見えたけど、僕にはなにも言えなかった。
そしてしばらく二人で砂利道を歩き、また舗装された道を歩いて、角度のついたコンクリートの坂を下った。
両側には木が密集して空を隠し、じめじめとした風が通り抜けた。
「そういえば、この先にはお墓があるんだよ」
自分で言って、自分で怖くなる僕を、彼女は気づかないふりをしてほっといた。
途中お墓の横を通り、まだまだ続く坂を下っていくと、木の隙間に海が見えた。
「ほら、あれが海だよ」
「ふーん、実際見ると大したことないわね」
「もっと下まで行けば、びっくりするから」
僕たちは、さらに坂を下っていった。
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