過去ログ - 僕「宇宙人に会った」
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8:オータ ◆aTPuZgTcsQ[saga]
2015/07/13(月) 17:58:37.76 ID:pbmAn6xEO
空と海がオレンジに染まる頃、僕たちはようやく立ち上がり、あの急な坂を歩き出した。
行きも楽じゃなかったけど、帰りの上り坂もやっぱり辛い。
呼吸を早くしながら、僕はふっと墓場のことを思い出した。


「また前を通るのか……」

「怖いの?」

「別に」


すると、彼女は軽やかに走り出し、なんと墓場の方へ向かった。


「ちょっと!?」


慌てて追いかけると、彼女は墓場の真ん中に立っていた。
そばには光輝く、UFOのようなものが一つ。
僕は目を疑った。


「ちょっと乗ってみる?」


手を差し出した彼女につられて、僕はふらふらとUFOのそばへ歩く。
真っ白な光を放つ、強い懐中電灯のようなライトがいくつも船体にくっついていた。
そして、僕はとんでもないことに気づく。
UFOは緩やかな風を起こして、少し地面から浮いていたのだ。


「ほら、ボーッとしてないで」


手をつかまれ引っ張られる僕は、夢の中にいるような気持ちでUFOに乗った。
中もどこまでも白く、生活感は一切なくて、荷物が整然とつまれていた。
外側についていたぎらついた照明はなく、壁や天井がほんのり光を放っている。


「すごいね」


僕は慌てることもなく、ただUFOの中で佇んだ。
女の子は慣れた手つきでなにかの作業をしている。
すると、壁がゆっくり持ち上がり、外の様子が見えた。


「今、海の上を飛んでんのよ」


透き通った窓の向こうは、一面オレンジ色の海だった。
豆粒のようなサーファーの姿もあちこちに見える。
さっき二人で見ていた船のそばに、UFOは近づいていった。
煙突からのぼる煙や、甲板が間近に見えて、僕はめまいがするほど驚いた。


「すごい……」


白いワンピースに身を包み、僕の横でUFOを操縦する彼女は、僕にそっと微笑みかけた。


「次に会った時は、アンタの本音を聞きたい」


僕は言葉の意味が分からない。
分からないけど、今度は慌てずに女の子に微笑み返した。
彼女が薄れていく意識の中で言う。


「私の名前は」


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