過去ログ - 阿良々木暦「ひたぎアピール」
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3: ◆8HmEy52dzA[sage saga]
2015/07/17(金) 21:24:07.39 ID:0XhJBn560

「……ケーキ好きだよな、戦場ヶ原」

「女の子ですもの」

「じゃあ、そこまで言うなら戦場ヶ原ひたぎ様の従順な下僕が行ってくるよ」

「そう。苦しゅうないわ」

「なあ、ところで戦場ヶ原」

「あら、何かしら」

「……暑かったら、冷房入れてもいいからな」

顔を赤らめながら言って、彼は逃げるように扉を閉めて部屋を出て行った。

「…………」

そして取り残される私の図。

阿良々木くんの言葉の意図はわかる。
阿良々木くんは、私に上着を羽織って欲しいのだ。

そう、今の私はかなりの薄着だ。ノースリーブのタンクトップにホットパンツなんて、神原のような露出部分の方が多い服装をしている。
神原は趣味と言うよりは動きやすいから、という理由の方が大きいのだろう。
ひょっとしたら既に露出趣味というスキルも身につけているのかも知れない。

……私もあの子くらい、色々な意味でフットワークが軽くなれたらいいのだけれど。

勿論、私にこういう服の趣味がある訳ではない。
私は自分でも貞操観念の強い方だと思うし、何より異性にそういう目で見られる事に対して、吐き気を催す程に嫌悪する。
だからか、私の私服は露出の少ないものが圧倒的に多い。
それは、過去のトラウマに拠る部分が大きいのだけれど――ともかく、今日の服装は非常に私らしくないということだ。

そう、らしくない。

その証拠に、今日の阿良々木くんはどこか落ち着かない。
勉強をしていてもそわそわしており、身が入っていないように見える。
まあ、間違いなく私のせいなのだけれど。
この程度で心を乱すなんてまだまだよね。

しかし先ほどの阿良々木くんの言い回しも大概だと思う。
回りくどいというか、男らしくないというか。
素直に上着を着ろ、と言えばいいのに、言えないのが男の子というものなのかしら。

……そう考えると少し、阿良々木くんが可愛い。
これが萌えという感情なのかしら。

十代後半の、最もさかりのついた男の子に対しては少し酷かも知れないけれど、そんな事は私の知った事ではありません。
阿良々木くんが我慢すればいいだけの話なのだから。

「……我慢してくれなくても、いいのだけれど、ね」

さて。

独白はこれくらいにしておいて、阿良々木くんもいなくなったことだし本来の目的を果たすとしましょう。



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