過去ログ - 阿良々木暦「ひたぎアピール」
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4: ◆8HmEy52dzA[sage saga]
2015/07/17(金) 21:27:05.47 ID:0XhJBn560


002


戦場ヶ原が変だ。

いや、この言い方には語弊があると言わざるを得ない。
一般常識に当てはめて考えてみれば、変かそうでないかと言われれば、戦場ヶ原は間違いなく変な女である。
恋人の眼球を貫こうとしたり、恋人を手錠で廃屋に拘束したりする女の子を普通とは言わない。

そんな僕にとって嬉しくない意味で普通とは一線を画す戦場ヶ原なのだが、彼女だって女子高生である以上、中身は普通の女の子だ。
怪異に出会ったことで少々歪んでしまった感はあるが、本来ならば何処にでもいる優秀な女子高生に違いない。

だが、彼女らしくない。

戦場ヶ原の貞操観念はかなり強い。
年頃の男である僕としては少々寂しいことではあるものの、それを受け入れるのが恋人のつとめというものだろう。

その戦場ヶ原が、だ。

あんな、あからさまに僕を誘惑するような格好で対面に座る戦場ヶ原の意図が汲めない。
頭にドのつくサディストなガハラさんのことだ。
可能性として、動揺する僕を見て楽しんでいる、等が考えられる。
しかし僕の知る限り、戦場ヶ原は例え僕をからかう為とはいえあんな事をする女ではない。

……まさか、何かの前兆か?

事を起こすとなれば核ミサイル発射くらいの大事件を巻き起こすような女だ。
だが、今のところ心当たりはない。たぶん。

「あ、フォークは二つでお願いします」

目に見えない不安を抱えつつ、ケーキを二つ購入してコンビニを後にする。
スタンダードなイチゴのショートとモンブランだ。
ちゃんとしたケーキ屋は繁華街まで行かないとないし、戦場ヶ原にはコンビニケーキで我慢してもらおう。

「ただいまー」

家族のいない家に帰宅を告げる。
そう、何を隠そう現在、阿良々木家には僕と戦場ヶ原以外の人間は存在しないのだ。

僕の彼女が。

誰もいない僕の家に。

二人きりだ。

何とも素晴らしい響きだ。この事実だけで生きていてよかったとすら思える。
まあ戦場ヶ原のことだから期待はしない方がいいだろう、なんて半ば自棄に近い諦観と共に自室の扉を開ける。

と、



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