過去ログ - 海未「海の日ですね」ことり「そうだね!」
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11:名無しNIPPER[sage]
2015/07/20(月) 12:55:00.98 ID:xO6J73Vw0
十分な量の写真を撮り終え満足した私は、ことりを起こすことにした。

このまま気持ちよさそうにことりを寝かせておいてやりたいが、そうすると買った電車の切符料金を超えてしまう。

人は行ける場所にしか、行けない。

支払った金額に見合った行動範囲内で、どうにかこうにかやりくりするしかないのだ。

そう考えて、ことりの肩を揺すろうとした手がくうで、はた、と止まった。

私とことりはどこまで行けるだろうか。

ふたりでこれから誰かに支払うものの価値は、ふたりをこれからどこまで連れてってくれるだろうか。

私は自分が思う以上にヘタレで弱くて、おそらく世間知らずだ。

ことりは私が思う以上に芯があって、でも、身体があまり強くない。

ふたりで助け合いながら、荒波に飲まれて乗り越える美談は、穂乃果に借りた少女漫画にいくらでも転がっていた。

私はことりに好かれてる。

ことりも私に好かれてる。

だけど、それって世間ではどれくらい価値があるものなのだろう。

窓から差し込むオレンジ色の光が、ことりの顔を横切っていた。

その眩しさに、寝ていることりが、んうぅ、と顔を歪ませて声を出す。

私が起こさなくても、ことりはいずれその眩しさに目を覚ますのだろう。

揺れる電車に不意に、とんでもない音量でアナウンスが鳴り響く。

身体が思わず、びくり、と跳ねた。





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