過去ログ - 志希「アイドルをオモチャにするクスリ」【R-18】
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28: ◆Freege5emM[saga]
2015/07/20(月) 13:33:07.27 ID:+YHYAwhlo

●22

「ね、ねぇ、プロデューサー……」

衣装の見直しが終わった。
鮮やかなピンクのトップスに淡い桜色のミニスカートの私服へ着替えた梨沙が、
カーテンを開けて俺のそばに寄ってくる。

「アタシ……へ、ヘンじゃない? このまま帰って、パパに見られても、おかしくないよね?」

「変じゃないと思うが……
 パパ? あ、そうか。今、梨沙パパは山口から上京してるんだったな」

「そーよ! 久しぶりにナマのアタシを見せるの、ご無沙汰だったから、しっかりキメなきゃ」

梨沙は、ツインテールをしきりにいじりまわしながらしゃべっている。

ちなみに、梨沙の言う『ご無沙汰』とは、
ここ一週間スカイプでしか梨沙パパと会話していないことを指している。

梨沙パパは仕事の関係で東京に出張することがままある――らしいが、
それにしても毎度毎度、山口の自宅からご苦労様なことだ。

……あらためて考えると、梨沙が親離れできない原因は、
梨沙パパにもそれなりのウエイトがある気がしてきた。



「梨沙……髪、気になるのか?」

梨沙の長い黒髪は、色艶は本当に惚れ惚れする濡羽で、
年齢を超越した色気を醸し出している。

「髪はオンナの命なんでしょ? アタシの髪、こー見えて素直じゃないから」

だが、一方で形に関してはなかなかのじゃじゃ馬。
何度梳いても、少しだけクセが残ってしまう。
特に後ろ髪の頑固さといったら、只者ではない。

「アタシも、拓海とか芳乃みたいな、さらさらストレートヘアになれたらなぁ」

「今みたいに梅雨でジメジメムシムシしていると、ヘアスタイルは特に難しいよな」

「アタシはまだマシな方よ。キャシーとか、イヴとか、メアリーとかスゴいもん。
 金髪や銀髪って、アタシみたいな黒髪より柔らかくて、しかも一本一本が細いから、
 何もしないうちに伸びたり縮んだりして、勝手に型崩れしていくんだって」

「そうだな。今はどうか知らんが、昔はあいつらみたいな金髪を湿度計に使ってたんだと。
 人間の髪が、どれだけ敏感で繊細なのかがわかるな」

「へぇ、面白いわね♪ あとでパパに話してあげよ!」



梨沙は俺の顔にチラチラと視線を投げつつ、せわしない手つきで髪を弄んでいる。

「……梨沙、髪梳いて欲しいなら、そこらへんの姿見持ってきてくれ。
 梨沙も自分で見ながらのほうが、うまくいくだろうから」

「わかってるなら、さっさと言いなさいよねー!」

サインを察してやると、梨沙はパタパタと軽い足取りで、
部屋の収納からキャスター付きの姿見を転がしてきた。
ここは芸能事務所、鏡は不思議の国へ行けそうなほど揃っている。

梨沙の年頃だと、シンデレラよりアリスのほうが似合っているかもしれない。



梨沙が持ってきた姿見の位置に合わせて、俺が椅子を二脚並べると、
梨沙は鏡面に近い方の椅子へそそくさと座る。

「これから、パパに会うんだから……アタシがイイ、って言うまで、しっかり整えるのよ?」

「……俺も仕事があるんだけどなぁ」

「いや、アタシ、アンタの担当アイドルだから。
 アタシの身だしなみをチェックするのもプロデューサーの仕事よっ」



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