11: ◆xedeaV4uNo[saga]
2015/07/21(火) 10:57:49.33 ID:7uNH2Jhi0
「ごめんなさい! すぐに回収してきます!」
鳳翔さんの返事も待たずに落下した場所に向かって独走する。
これじゃまるで逃げてるみたい。
――みたい?
本当に逃げてるのに。
それでも、このまま手ぶらでは戻れない。海面に落ちた一本の矢を当たりだけで探すなんて、よっぽど運がよくないと見つかりっこないのは分かってるのに。
「あれ?」
矢のままだと思っていたのに零戦が水面に浮かんでいた。
波を被って今にも沈んでしまいそうな機体を慌てて拾い上げる。
操縦席の妖精さんが私を見ると安心したように笑って、姿が薄くなって消える。
「あ……待って!」
零戦も白煙に包まれると矢に戻ってしまう。
私がちゃんとしてれば危ない目なんかに遭わなかったのに。
そう、これは私のせいだ。もっとしっかりしてれば防げたのに。
「……ごめんなさい」
急に悲しくなって謝るしかできなかった。
謝って済む話なんかじゃないのに……。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
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