12: ◆xedeaV4uNo[saga]
2015/07/21(火) 10:59:05.62 ID:7uNH2Jhi0
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
鳳翔さんに弓を返した後はお手伝いに専念することにした。
あちらもこれ以上は射るのを勧めてこなかった。
でも引き方を忘れないようには言われたので頷く。半ば心ここにあらずのまま。
海上での試験を終えてからは八雲の工廠に戻って烈風と流星の整備に入る。
工廠は艦首と繋がっているから、すぐに作業に取りかかれる。
お互い別の作業机に向かって、鳳翔さんは式札の文字や紋様を書き換えたり添削していく。些細な違いが大きな影響を及ぼすからで、今日に限らず何度も試行錯誤していた。
矢の方は水気を切って乾かしてから痛んでる箇所があれば航空機に戻して修理していく。ただ鳳翔さんじゃないと元の状態には戻せないけれど。
その鳳翔さんは夕食の準備もあって一足先に工廠から出て行ってた。
一人で作業を続けていると一本だけ気になる矢が出てくる。私が着水させてしまった零戦だ。
あの時は気づかなかったけど尾翼の部分があまりよくなさそう。鳳翔さんに後で見てもらうよう言わないと。
でも……私なら直せるかも。航空機の状態なら何度も修理してるんだから。
……それにこの子がこうなったのも私のせいだ。
深呼吸を挟んで矢を手に取る。
難しく考えないで矢を自由にさせる。感覚はなんとなく掴んでいた。
矢が膨らんだと思うと零戦の形になる。
零戦の操縦席から寝ていたらしい妖精さんが驚いたようにこっちを見上げてくる。
「大丈夫だよ、ちょっと修理するだけだから」
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