30: ◆xedeaV4uNo[saga]
2015/07/27(月) 01:15:12.97 ID:x8AHwltW0
鳳翔さんも艦載機を飛ばすために出て行って、私は艤装を付けたまま一人で艦内に残っていると艦隊用の無線に話声が入ってくる。
「帰ってきたらたいげーさんのふーかでんびーふを食べたいの」
「ゴーヤも賛成でち」
「それならはっちゃんも食べたいですね」
イクちゃんたちの会話に二一駆の子たちも混ざってくる。
「フーカデンビーフとはなんだ?」
若葉ちゃんの質問にはっちゃんが答える。
「えっとね、ゆで卵を牛のひき肉と衣で包んで焼いたもの、かな」
「なんぞ金剛の言っていたスコッチエッグに似ておるのう」
「あっちは確か揚げるけど大鯨さんのは焼くんだよ」
「おぉ〜、美味しそう! 食べてみたいねぇ!」
「帰ってくるまでの楽しみにしましょう」
そこに夕張さんの声がたしなめるよう割って入る。
「ちょっと盛り上がってるとこ悪いけど、みんなしてそうやって変なフラグ立てるの止めなさいよ。こんな時に」
「フラグってなんです?」
逆にイムヤちゃんが質問する。
「要はジンクスよ。戦闘前に結婚するとか言いだした兵士がろくな目に遭わないのと同じなの。定番でしょ」
「いいんじゃない?」
場を取りなしたのは伊勢さんの声。
「みんな花より団子って感じだし色恋沙汰じゃなきゃ大丈夫なんでしょ?」
「甘いですよ、伊勢さん。食欲にだって反応するのがフラグなんです」
「だったら大鯨を死亡フラグにしないよう頑張ってみないとね」
「それは……同感です」
艦載機を飛ばし終えたのか鳳翔さんが戻ってきた。
「楽しそうですよね、みんな」
「……そうですね」
なんで……どうしてみんな、私の話なんかしてたんだろう?
無事に戻ってきての一言も言えないで、私は何をやってるの?
通信圏内から出てしまったら声もしばらく聞き納めになってしまう。
今ならまだ遅くない。そう思っても声が出てきてくれない。
たまに聞こえていた雑談の声が届かなくなる。残ったのは微かな空電の音だけ。
私はまた誰かの想いを受け止められなかった。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
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