41: ◆xedeaV4uNo[saga]
2015/07/27(月) 11:03:38.04 ID:x8AHwltW0
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
夕張と鳳翔は二人で工廠にこもって作業に没頭していた。
龍鳳の艤装の定期点検を終えた夕張は、烈風の改修を終えた鳳翔に話しかける。
「あの子、大鯨も一時期はどうなるかと思ったけど、憑きものが落ちてくれたみたいですね」
「あれがあの子の自然な姿なんですよ。優しすぎて考え過ぎちゃう、だけど本当の芯はしっかりしてる強い子」
そういう鳳翔は烈風の出来映えに満足げだった。
先の海戦ではそれまで以上に烈風の稼働率がよく、それに合わせて調整を加えると上手く噛み合うようになっていた。
実戦投入可能、という状態に鳳翔は仕事の手応えを感じていた。
「そういえば大鯨ってどうやって攻撃を避けたんです? 私もそういうの苦手だから参考に聞いたんですけどはぐらかされちゃって」
「あぁ……」
鳳翔はしばし考える。
まさか転んで溺れた結果、敵機が位置を見失って回避できたなんて大鯨の名誉のためには言えない。
「私も自分で手一杯だったのでちょっと分からないですね……」
鳳翔にできるのは言葉を濁すことだけだった。
「まあ仕方ないですね」
「仕方ない……大鯨ちゃん――龍鳳ちゃんはそういうのに我慢できなかったんでしょうか」
「どうなんでしょうね? 私なんかはあまり難しく考えないようにしてるので。明石と一緒に艤装や兵装いじったり、たまに変な物を作って、それからたまに美味しいおそばを食べられるなら、それで満足ですよ」
言い終わって自分の発言を吟味した夕張はふと気づく。
「もしかして、私ってすごく単純?」
「夕張さんらしいじゃないですか」
「そこは違うって言ってくださいよー!」
恥ずかしさ混じりの叫びとそんな様子を微笑ましく思って出た笑い声が艦内工廠を包んでいた。
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