過去ログ - 花陽「お願いします……ここから……っ」窓付き「……」
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◆J56L221nBM
2015/09/06(日) 12:46:30.64 ID:OaEWWgHIO
無数ブロックの空間の中で、ステンレス製の小さなベッドを見つける。
白と紫の無機物しか見る事の出来なかったこの世界で唯一見つけることが出来た異物に花陽は安堵の溜息をついた。
花陽「……座ってもいいのかな」
ギシッ――。
質の悪いステンレスで出来た小さなベッド。座ると軋む音と共に布の柔らかさを感じることが出来た。
夢の中特有の「柔らかいと思ったら硬かった」などといったお約束も無く、自分がっているベッドの様だった。
花陽(……あれ)
花陽(この座り心地……何処かで)
花陽「あっ!」
よく調べてみると、このベッドは花陽があの部屋で座り込んだベッドとよく似ている。
似ているというより、形そのままこの場所に持ってきた様に全く同じものだった。
花陽「……このベッド、どうして」
窓付き「……」
花陽「?」
窓付き「……」 モゾモゾ
花陽「えっ?ね、寝ちゃうの?」
窓付き「……」
花陽「……」
少女は花陽を押し退けてベットに寝転がると、そのままシーツを被り潜り込んでしまう。
夢の中で眠る。とはよく聞く話だが、それを目の当たりにしたのは初めてだったのでどうしていいか分からず、花陽は立ち往生していた。
花陽「ど、どうしよう……」
窓付き「……」
花陽「……本当に寝ちゃったのかな」
ムクリ。
窓付き「……」
花陽「あっ」
花陽「……やっぱり、眠れなかったんだね」
窓付き「……」 コクン
少女はベッドから降りると、また道無き道を歩き始めた。
花陽は少女の見せる子どもっぽさに、少しだけ気を緩め少女の後を追った。
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