過去ログ - 提督「この世界にいらないもの?」
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21:名無しNIPPER[saga]
2015/07/27(月) 15:46:38.93 ID:NYc+OQMZ0
しかし、ここでも時雨はまたポカをやらかした。夕立も時雨自身も料理に詳しくなく、どういう手順で作るべきかのノウハウを全く知らなかったのだ。その場合間宮など料理に詳しい人の助力を仰ぐのが定石だが、二人共料理なんてレシピ通りに作れば何とでもなると楽観的に考えていたのだ。

その時の厨房の様子といったら大騒ぎ。二人しかいないのに、どうしてここまで上から下まで騒ぎ立てられるのか。胡椒や小麦粉が宙を舞い、それを吸って咳ごんでくしゃみをし、人参のヘタを切って捨てるつもりがいつの間にか本体の方を捨てたりしていて、無理に鍋を引き出そうとして、棚から鍋の雪崩を起こし、一つ拾って、火にかけるのは良いが、レシピの順番通りに食材が準備されていないので、焼けば結果的に一緒だろうということで、手についたものから鍋に放り込む始末。

出来たものの味見は勿論した。日頃から「どうして比叡さんは味見をしてカレーを出さないのだろうか」と疑問に思って生きてきた教訓が生きたのだ。味はとても美味しかった。

そんなめちゃくちゃな手順でまさかと思うが、タネを明かせば簡単だ。夕立と時雨はたかがカレー一品作るのに朝から晩までかけており、その間は騒ぎのせいで何も口にしていなかったのだ。そして、また自分たちがこんなに苦労して作ったものなんだと過剰に愛着を持っていた。要は愛情と空腹こそが料理の最高の調味料というわけであったのだ。

最高の調味料を存分にかけてそのカレーを味わえた夕立と時雨はいいにしても、困ったのはそれを自信満々に差し出された提督の方だった。スプーンですくってみる。口に運ぶ。食べられない味じゃない。そう食べられない味じゃないのだ。でも、美味しくもなかった。ひと皿は食べられるだろうけど、おかわりはぜひ遠慮したい味。甘く評価しても普通よりまずいぐらい。微妙。だけど、せっかく艦娘が自分のために作ってくれたものだと、「おいしい」と言って完食した。

夕立、執務室から走って出て行く。時雨、慌てて追いかける。提督、困惑した後に皿を洗うため席を立つ。夕立、布団に潜り込み泣く。時雨、慰める、そして次はクリスマスにマフラーでも編もうと提案する。提督、通りがかりに偶然それを聞く。


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