過去ログ - モバP 「常識改変されたアイドルたちの世界」
1- 20
2: ◆agif0ROmyg[saga]
2015/07/28(火) 16:12:27.55 ID:isfd8rsE0
志希と晶葉、日本が誇る二大頭脳によって、ナノマシン「インプラント」はどんどん改良されてきた。

それまでの不安定さと短寿命を自己増殖機能および疑似的な有性生殖機能の獲得によって克服したバージョン2は、いとも簡単に地球を覆った。

呼吸をしない人間はいない。

ゆえに、鼻呼吸によって脳まで運ばれる「インプラント」から逃れられる人間もいない。

人工呼吸器をつけていた人間や、なんらかの理由で長期間地下にいた人間には効きが遅くなる可能性も考えられたが、そのような少数派は考慮に値しないと晶葉は述べた。

「私たちが操るのは常識だよ。
 世の中の大多数の人間を従わせることができれば、残りの少数もやがて自分から適応してくれるはずさ。
 この社会では、数で圧倒しさえすれば、戦いすら起こり得ないんだよ」

14歳の天才工学者という、かつて少数派の中の少数派であった晶葉の言葉には、年に見合わない重みがあった。

さて、暫く時間をかけて全人類に「インプラント」が行き届いたと思しき頃。

晶葉が、テストをしたいと言い出した。

「もうそろそろ、日本人は全員インプラントされただろう。
 海外も制圧できたとは思うのだが、ここで一つ実験をしてみたい」

「実験というと?」

「今、助手と私たちがやっているようなことを電波に乗せてみようかと思ってね。
日本人はもはや誰一人として私たちの行動に疑問は持たないだろうが、海外はどうなのか、これを確かめたい」

「なるほど。しかしそれなら、何もそんな回りくどいことをせずとも直接操ってみればいいんじゃないか?」

「外国人はサンプル数が少なくて、どの程度まで常識を操作できるか確定しきれないんだよ。
 大雑把に認識を歪めたり記憶を改竄したりは、既に可能なんだが。
 認識の方はともかく記憶の方は軽々に触りたくないものだし」

「そういうことか」

「まあ、日本人相手であっても大人数を細かく調整するのは手間がかかるんだがな。
 でも助手だって、ちょっと興味あるんじゃないか?
 カメラの前でアイドルを弄ぶ番組。
 君のアイドルの痴態を世界中に配信、してみたくはないか?」

「……そう言われると、もう断れないな」

「はははっ。そうだろう、そうだろう。
 なに、気にするな。
 いつも通り、その底なしの性欲をアイドルにぶつけてくれればいいんだ。
 ……この私に散々下らない常識を押し付けてきたこの世界に、新たな秩序を押し付け返してやる」

かくして、地球とその住民を丸ごと被験体にした、かつてない規模の実験が執り行われることとなった。

数日後。

俺はテレビ局に赴いていた。

目当ては間も無く始まる生放送のニュース番組。

それにキャスターとして出演する和久井留美だ。

元アナウンサーのアイドルとしては川島瑞樹がいるが、既に彼女一人では賄いきれないほど、この手の仕事はたくさん来ている。

なぜ俺たちがそんなに仕事に恵まれているかというと、無論これは「インプラント」のおかげだ。

「インプラント」の効果はあくまで常識や信念の改変であって、多数の人間を人形のように思いのままに操れるというわけではない。

それでも、ショービジネスの担い手たる俺たちにとってその恩恵は絶大であり、我がアイドル達の稼ぐ金額は以前の数百倍、いや数千倍にも達した。

圧倒的な支持と資金力で、俺たちは一躍日本の支配者となった。

俺の役割も、営業や企画立案と言うよりは、激増する仕事のマネジメントや関連会社の経営等が中心となっている。

なにせ経済大国世界に日本を動かすということは、世界と交渉するということでもあるのだから。

いちプロデューサーにこなせる量の仕事ではないはずだが、今のところ特に問題なくできている。

これもやはり、志希と晶葉のおかげであろう。

国内外の多くの企業との営業、および交渉を並行して次々片付けるのは、かつての俺ではまず不可能だったろう。

しかしその甲斐あって、日本のアイドルが出演する番組は海外でも次々と放映された。

事務処理や折衝の仕事は大変な量だったが、有能な同僚の存在もあり、それなりに余裕を持てている。

何より、脳を強化してくれる特性ナノマシンの恩恵により、俺は昔とは比べ物にならない激務をこなしながらも、こうしてアイドルと触れ合う時間が取れる。

全くありがたいことだった。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
32Res/74.52 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice