11: ◆FRtTimAs0A[saga]
2015/07/29(水) 20:17:29.69 ID:PWTPCkSc0
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ヤチーの生態は、摩訶不思議だ。
気づくと居て、気づくと居ない。まるでなぞなぞか、手品のような毎日を送っているようだ。
そんな掴み所のないヤチーが、ここのところわたしの家に、更に、入り浸っていると思うのは間違いでは無いはずだ。
そんなことを、静かな寝顔を見て気づかされる。
ヤチーの寝顔を見るのはこれが初めてで、それはつまりヤチーがわたしの家で、昼寝も夜寝もしたことがないことを意味する。
わたしの家に、馴染んでくれたのかなぁ。
ヤチーにとってここが、本当に心の休まる場所になったのかなぁ。なんて考える。
寝顔を見ていると、あれやこれやいろいろな想いが、ぽんぽんと、ポップコーンのように弾けては消えてゆく。
でもいくつか、簡単に消えてくれないものもあって。
甘いのも苦いのもあって。
一番大きな甘いかたまりは、うまく言い表せない。
わたし以外誰もいない状況で、気を許してくれた喜び。わたしにだけ、という、誰に対してかわからない優越感。
わたしが。
わたしだけが、今、ヤチーの側にいる。
そう思うと湧き出る、この、モヤモヤとした気持ち。
その甘さをかみ砕いて味わうには、まだ、何かが足りないのかな?
わたしに足りないものなんて、挙げていけばきりがないけれど。
せめて、ヤチーと、こうして過ごしていられる間に、一つでも多く見つけたい。
その姿はどうしようもなく儚くで、まばたきをすればそこにはもう、ヤチーを表すものが何一つ残っていなくても不思議じゃない。
その儚さがわたしを焦らせ、わたしをひきつける。
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