32:名無しNIPPER[saga]
2015/08/19(水) 10:02:18.07 ID:DTbSFX5Y0
父「よーっす、久しぶりだな。焼けたねえ」
少年「うん、久しぶり」ニコ
父「……ん、何か雰囲気変わった?」
少年「さあ?」
祖父「前からこんな感じなんだ……落ち着きが出来た、と言うか」
父「へえ……何だ、何があったんだ?」
少年「秘密だよ」ニヤッ
父「ま……良いか。よし、そんじゃ帰るか」
少年「うん、爺ちゃん、婆ちゃん、また来るね」
祖母「ええ、待っていますよ」ニコ
祖父「またな」ワシワシ
少年「眼鏡にもよろしくね……じゃ、また」
ブウゥウゥウン……
少年「おお……やっぱこの船速いね」
父「趣味には金を惜しまないタイプだからな、やっぱこの風はたまらん」
父「……で? 何か白い鯨を見たって聞いたけど、どうだったんだ?」
少年「……」
少年「……いや、別に会えなかったよ」
父「そっか、残念だったなぁ」
少年(青い空、綺麗な入道雲に吹き抜ける風)
少年(眩しい太陽の下できらきらと輝く海。でも……やっぱり、あの夜より綺麗なものは無いのだろう、と思う)
少年(心に残る寂しさは、未だに心を包んでいて、時々胸がきゅっと痛むけど)
少年(でも、何故か清々しい気持ちだ)
少年(ああ……きっと、この感情は)
少年「父さん」
父「んー?」
少年「僕――好きな人が、出来たんだ」ニコ
父「!?」
少年(きっと、この世界の誰よりも、不思議な体験をした夏)
少年(僕は、一頭の白い鯨に恋をした)
終わり
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