143: ◆JMQrjAAXSXNz[sage saga]
2015/08/10(月) 22:07:28.31 ID:BPa6xaq20
“滝見春の場合”
春「んぅ、んっ、んっ」
粘質な音が絶え間なく続く。
酒に薬を盛られ、キスをされ続けるという状況の非日常差に脳が施行を拒否する。
春「ん、むぅ」
薬を盛った犯人は繰り返し、まるで機械のように己の行為を止めない。
口の周りは唾液塗れで、妖しく、灯りを反射している。
京太郎「な、んで」
春「?」
まとまらない思考を無理矢理束ね、何とかそれだけを絞り出す。
今まで夢中でキスを止めなかった滝見さんが小首を傾げる。ようやく見せたキス以外の反応に少し、少しだけ希望が見えた。
京太郎「何で、こんなことを」
春「......私は口が上手くない」
会話が出来る。反応がある。理解が出来る。
微かな希望は、確かな光明に。そしてその光は、
春「だからこうして愛を伝えるの」
春「伝えた思いは必ず返ってくる」
春「私が貴方を愛せば、貴方も私を愛す」
春「素敵。......そうでしょう?」
どこまでも濁っていた。
京太郎「あ、ぁぁ」
春「じゃあ、一緒ににゃろう?」
京太郎「にゃろう?」
聞き返すのとほぼ同時。滝見さんが倒れこんだ来る。
もしかして、もしかして
京太郎「ただ酔ってただけ...?」
そういえば、俺に酒を進める時点で酒臭かったような気もする。
京太郎「どう収拾つけるんだよこれぇ」
とりあえず滝見さんに酒は与えない。それだけは固く誓った。
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