23:名無しNIPPER[saga]
2015/08/02(日) 03:59:12.44 ID:V8gzDOoiO
咲「…はい。どなたでしょうか」
軽い身支度を手早く済ませた咲は重い足取りで玄関へ向かった。
あわよくば、来客が単なる配達員か、それか勧誘かなにかで、身支度の間に諦めて帰っていてくれたら。
そんな希望を持ちもしたが、ドアを開けた瞬間に咲の目はどんよりと曇った。
健夜「あの、おはよう。今日もきました」
来ないでいいです。そう返そうと思い、トゲトゲした言葉は舌の上で転がって、喉の奥へと戻っていった。
この女性、小鍛治健夜と出遭ってしまった、明くる日にすでに言って、今のところ効果の見られない要望だったためだ。
どうせ意味を為さないやりとりに体力を費やしたくはなかった。殊にこの頑固者相手には。
咲「どうぞ上がってください」
健夜「ごめんね、ここのところ毎日お邪魔しちゃって」
本当だよ…と呟いてみるも、そんな迂遠な非難は彼女には届かない。そんなことは初日にすでにわかっている。
家に上げなければこの炎天下のなか延々と家の前で立っているのだ。もはやホラーである。
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