30:名無しNIPPER[saga]
2015/08/02(日) 04:10:54.60 ID:V8gzDOoiO
健夜「…やっぱり無理、かな」
咲「無理なんですか?」
健夜「え」
俯きかけた健夜の面が、まるで引力に惹かれるように上がる。
そこに、健夜を胡乱げに見つめる半眼はない。
あるのは真剣味を帯びた、意志を感じる真顔。
咲「無理を通そうとして嘯いていただけだったんですか?」
健夜「もっ、もちろん宮永さんがその気になってくれるのであれば、全力を尽くすよ!でも…その、いいの?」
咲「いいですよ」
あまりに呆気なさすぎる翻意に、健夜は自身の頬を抓ってしまうほど信じられなかった。
咲「なにをやってるんですか…」
健夜「い、痛い…いや、どうしてこんなにあっさり心変わりしてくれたのかなって思って…」
咲「べつに。というか、きっとそんなに意外なことでもないですよ。そもそも、まったく関心がないのであれば小鍛治さんをこうして家にあげて話を聞いたりなんてしませんし」
健夜「そ、それはたしかに…」
咲「その気になればおまわりさんを呼んで解決もできたでしょうし」
健夜「ひえっ…」
一瞬で青褪めた健夜の顔を見て、咲がちいさく笑った。
それを見て、健夜はようやく宮永咲という少女に一歩近づけた気がした。
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