過去ログ - 一ノ瀬志希「存在の耐えられない軽さ」【R-18】
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4: ◆Freege5emM[saga]
2015/08/02(日) 21:43:45.53 ID:J1V0Ousco


●02

このマンションにたどり着いて、駐車場に車を置く前の光景。

道中、俺がハンドルを握る横の助手席で、
志希は顔をハンカチで覆ってスーハースーハーとやっていた。

手製りのアッパー系フレグランスを摂取しているのだろう。

「珍しいな。仕事が終わって、事務所にも寄らない直帰なのに、キメるのか?」

「ヘンなコト聞かないで……ニオイだけで良いカンジにトリップするには、精神統一しなきゃなの」

志希は俺の質問をまともに取り合わず、両手でハンカチを抑えながら目を閉じた。
その様子は、ほんの少しだけ祈りに似ていた。



一ノ瀬志希は、容貌・スタイル・運動神経・頭脳と、どれをとっても才能に満ち溢れたアイドルである。
そんな彼女が『おもしろそーだね! あたしにも教えて教えて〜♪』とアイドルに興味を持って、
俺に声をかけてきたとき、俺はまさしく天啓だと思った。

志希なら、俺の手で国民的アイドルにしてやれると疑わなかった。
実際、今の彼女は過労寸前になるほど仕事が舞い込んできている。

ただ、今の志希はとても危うい状態だ。
ほんの少しでも歯車が狂えば、アイドルから転落してしまう。



「……なんで黙っちゃうのさ、プロデューサー」

「いや、志希よ。お前さっき『ヘンなコト聞かないで』って」

「キミがナニか喋ってくれないと、志希ちゃんのキモチが昂ぶらないんだよー」

志希はハンカチと手に抑えられて、くぐもった声で俺に抗議してくる。



「……今日の志希は、もう仕事終わりだよな。
 いつもなら、クスリが抜けるのに任せたまま、泥沼テンションになってるのに、
 今日はどういう風の吹き回しか、クスリをスーハーやってるから」

志希は、自家製のドラッグがなければ、仕事ができない状態になっていた。




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