131: ◆XtcNe7Sqt5l9[saga]
2016/01/15(金) 06:41:00.30 ID:/aoxDJVuo
犬勇者「すげぇよな。呪術の才覚に目覚めて、王から独立して……暗部の仕事を担って」
呪術師「力がある人間には使命がある。それだけの事」
犬勇者「ご立派だよ。俺なんてさ、勇者の家系だから、なんとなく勇者になっちまった」
決して、勇者になりたくて勇者になったわけじゃなかった。
信託を受けるまでは、それなりに将来の夢とかもあった。
犬勇者「十五の頃に神様からお告げがあって、魔王を倒せと来たもんだ」
「親父はとうの昔に魔王討伐で死んでたし、王都騎士団で修行の日々だ……まあ、楽しかったんだけど」
呪術師「始めてみれば、しっくりきた?」
犬勇者「あぁ、勇者としての使命感ってのはその時に湧いて来た。なんか、俺の生きる道は此処なんだなーって」
「呪術師みたいに、やらなくちゃって言うより……やらざるを得ないってのが、近いんだろうけどな」
呪術師「だけど、勇者の道を疑いもせずに真直ぐ進んでる。それも立派」
犬勇者「ふはは、もっと褒めろー……! まあ、辛い事もいっぱいあったから、挫折しそうにもなったけどな」
本当に、挫折しそうな事はいっぱいあった。
まず勇者であると認められるまでに、騎士団からのシゴキが凄かったし、それだけにプレッシャーも多くて。
犬勇者「魔術の素養はなかったけど、幸い剣術の素養はあったみたいで。だから、騎士団からの修行にもついていけた」
「だけど本当に辛かったのは、旅に出てからな。リーダーだから、みんなを守らなきゃだし、助けれない人達も少なくなかった」
勇者は、万能ではないと知った。
犬勇者「なっちまった以上、全力は尽くさないといけない。それに後悔はないけど、やっぱり堪えるものはあったな」
「使命感や義務感、責任感。全部引っ括めて、俺の力になってくれてたけど―――まあ、負けちまってさ」
完膚なきまでに、魔王に蹂躙されて。
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