18: ◆XtcNe7Sqt5l9[saga]
2015/08/02(日) 22:14:43.53 ID:SEr4tbLco
「犬、大丈夫?」
屈みこんで、俺を覗きこむ顔は確かに見知った顔だった―――魔法使い、だ。
「勇敢……魔物に立ち向かう、犬……」
俺を撫でながら、その手から治癒魔法を感じ取った。徐々に身体の傷が癒えて行くのを感じる。
犬勇者「……わ、ん……わんわん! わんわん!」(お前生きてたのか!? つーかなんで此処にいるの!?)
嬉しくなった。魔王に殺されて、俺がこんなになったばかりに……きっと、今頃は魂は天に昇ったであろうと思われる魔法使いが!
生きていたのだ! 嬉しくなって俺は身体の傷が癒えるのを待つ事もなく、吠え続ける。
「………ふふ、よかった、元気。君は……野良?」
………いや、待て、何かおかしい。
「……ん、家くる?」
微笑を浮かべて、何処か影のある顔―――俺の知っている魔法使いは、こんな表情をする女じゃない。
「私も、一人……寂しいし、君を飼おうかな?」
一体、どういうことなんだろうか……?
俺の返答を待つでもなく(返答できないけども)、彼女は魔法を俺に施して、浮遊させ歩き出す。港町とは逆の、森の中へと。
犬勇者(他人の空似か……? にしては似すぎだろ……でも、もっとハキハキ話すヤツだったし……)
兎にも角にも、とりあえずはこの魔法使いに似た女に連れ去られる事を良しとした。
どちらにせよ、完全に治癒していない身体では……どうにも、できやしないのだから。
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