26: ◆XtcNe7Sqt5l9[saga]
2015/08/03(月) 19:17:57.18 ID:RYHG2sjFo
―――呪術師の家で世話になる事、数日が過ぎた。
俺は彼女の寂しそうな佇まいに、以前の少女の家の様に飛び出す事が出来ずにいた。
彼女は俺がいなくなれば、悲しんでしまう様な気がして。これが俺に出来る、彼女への償いの様な気がしていたからだ。
呪術師「じゃ、行ってくる。ご飯は、きちんと時間通りにね」
俺の食事を置いて彼女は早朝から晩にかけて外出する。
その行き先は何処か知らないが……帰ってくる頃には、酷く疲労している様だ。
そして、今日は……疲労だけではなく、彼女の腕からは血が流れていた……。
犬勇者「わん、わんわん!?」(どうしたんだ!?)
呪術師「あ、ただいま……ちょっと、ミスした。まあ、かすり傷だから、気にしないでね」
彼女は平然と微笑を浮かべて、腕の傷へと治癒を施し続ける。
恐らく帰ってくるまでに、何度もかけ続けていたはずだ。それでも完治していない、という事は……深手だったのは想像するに容易だ。
呪術師「私は、妹みたいに上手くやれない……」
犬勇者「………くぅん」
呪術師「………本当は、私もちゃんとした冒険者になりたかった。けどね、ダメなんだ」
俺を抱きしめて、呪術師は語りだす。今日の傷の所為で、何か思うことがあるかのように。
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