47: ◆XtcNe7Sqt5l9[saga]
2015/08/09(日) 11:30:17.68 ID:3Ri8fxGZo
王「残念ながら。彼らにかけた強制帰還の魔法が発動したわけではないらしい」
「勇者たちが最後に確認されたのは、最果ての街……魔王城の近く、らしいが……」
呪術師「では、魔王に敗れた……? そんなはずない。だったら、妹たちが……生きているワケがない……」
王「そうだ。見せしめなら殺せば良い。だが、生きている。確信はないが、ワシは勇者が三人を逃したのではないかと……」
……そうだったら、どんなに良かったか。
俺は確かに魔王に殺された三人を見たし、俺自身もまた魔王と魔女の手で……。
呪術師「……考えても、分からない。とにかく今は、三人の目を覚まさせないといけない」
王「うむ、そうじゃな……長々と引き止めてすまない。では、魔法使いを診てやってくれ」
呪術師「分かった。行こう、犬……」
犬勇者「わ、わん」
俺は呪術師に撫でられ、謁見の間を後にしようとする―――。
王「ああ、ちょっと待て。その犬は……お前の、家族か?」
呪術師「そう。最近、拾ったの」
王「ふむ……名前くらい、つけてやったらどうだ。犬、と言うのはなんとも……」
あー、そうなんだよ。呪術師、犬としか呼ばないんだよ
とはいえ変な名前つけられるのもなあ……。
呪術師「……ふふ、考えておく。父上、嫉妬してたり?」
王「ふっふっふ、確かにそうかもしれんな。犬よ、呪術師を頼むぞ……?」
……王が、旅立ちの日に俺に向けた視線と同じものを向けてくれていた。
あの時は、魔王を倒せと、そして魔法使いを守れと……そして、今は呪術師を守れと……。
犬勇者「わん!」
俺は、あの時と同じように力強く返答した。
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