50: ◆XtcNe7Sqt5l9[saga]
2015/08/09(日) 11:31:58.25 ID:3Ri8fxGZo
犬勇者(まあ、呪いだと仮定するなら、そのうち目覚めるか……良かった、本当に……)
思わず、吠えてしまいそうになる。あー、感情が昂ぶると吠えたくなるのが犬の性だね。
神官「ふう。まあいいでしょう。これから脳への損傷などを鑑みて、治癒魔法も施してみます」
「それで無理なら、貴女の言う通り呪術による昏睡の呪いなのでしょう……貴女の、解けないね」
呪術師「力になれなくて申し訳ない。呪術というのは、魔術と違って複雑だから……」
呪術師の言葉に、神官の眉がひくりと動いた。背後に並ぶ他の神官達も少し、ざわつく。
神官「それは、呪術のほうが魔術よりも優れているという意味と取っても宜しいのかな?」
呪術師「そうではない。単に構成と経路の違いを言っている。魔術は魔力という一つの物質から、魔導書や法杖を通して出力する道筋が決まっている」
「対して呪術は血肉、魂を代償にする事で使用者の願望を成就させる。その叶え方は呪いとして対象物に顕現し、魔術とは違う過程で結果をもたらす」
神官「……つまりは魔術は量産的であり、呪術はごく一部のものにしか扱えないとしか聞こえませんが?」
呪術師「……魔術は結果に対して単一化しているけど、呪術は結果に対して複数の経由で発現する」
「そこに優劣はない。魔術は誰もが鍛錬次第で魔力値によって発現出来るけど、呪術は確かに限られた人間にしか扱えない」
神官「であれば、呪術が選ばれし者にしか扱えないという事ではないのですかねえ」
呪術師「優劣はないと言った。それに呪術には願う呪(まじな)いに比例して代償は大きくなる。普及するには、少々危険」
神官「はっ。それを扱う貴女が何を言うのです。魔術で到達出来ない地点に、呪術が至ると確信しているのでしょうに」
呪術師「魔力は体内で空気中の物質を取り込み、無尽蔵に製造できるけど、血肉はそう簡単ではない。コストパフォーマンスの問題」
「魂など代償にすれば再生する事はない。大きな目的を遂げる為に取り返しの付かないものを代償にするなら、魔術を極める事でいずれ辿り着けばいい」
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