63: ◆XtcNe7Sqt5l9[saga]
2015/08/17(月) 23:18:24.97 ID:DSNxDsCAo
――冒険者ギルド・一年前
私が勇者と出会ったのは妹のギルドへの登録願いに付き添った時だった。
父の下から離れ、妹は魔法学院へ。私はギルドの管理の下で、呪術を研究させてもらっていた。
魔法使い「お姉ちゃん! 私、冒険者になりたいんだ!」
私がいち早くギルドに所属し、冒険者の肩書を持っている事を羨んでいたらしい。
私としては、然るべき機関で魔術を学んでいる妹の方が羨ましかったのだけど……。
呪術師「……好きにすると、良いけど」
妹なら、快く迎え入れられる事は間違いなかった。魔法学院での成績は優秀で、卒業を迎えた今の彼女なら引く手数多だ。
対して私はやはり忌避される存在。それでもギルドは呪術の情報を私に提供し、私を育てる事で”仕事”を提供してくれる。
呪術師「貴女なら、きっと良い冒険者になれる」
魔法使い「そうかな? お姉ちゃんの方が、立派だよ」
妹はそんな私の状況を知りながらも、私がギルドの肩書を以て”汚れ仕事”を進んでする事を尊敬していた。
呪術の淘汰を望み、呪術を以て制する――才覚の差、運命の差か。私はずっと妹が羨ましいと思っているのに。
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