66: ◆XtcNe7Sqt5l9[saga]
2015/08/17(月) 23:20:27.58 ID:DSNxDsCAo
――王都郊外・廃村
呪術師「…………此処で、何かあった」
ギルドの依頼で呪いの痕跡があった廃村に私は訪れていた。
一歩足を踏み入れただけで、特有の魔力の淀みが感じ取れた。
呪術師「中心部は……あの、井戸の底か……」
廃村の中心に、枯れ果てた井戸があった―――その仄暗い底から、濃度の高い呪いを感知した。
呪術師「…………重力、軽減」
ぷつ、と指先を噛んで血の滴を地面へと垂らす。私の血を代償に、私は呪術を起動する。
自身へとかかる重力の負荷を軽減し、私は躊躇う事なく井戸の底へと飛び降りる。
呪術師「―――――……酷い」
薄暗く、よくは見えなかったけども……そこは、地獄だった。
呪いのせいで空気が淀んでいたのもあるが、それ以上に”死臭”が空気を更に悍ましものにしている。
呪術師「…………」
呪術で火球を作り、頭上に掲げ、暗闇を胡散させれば―――視界にはっきりと、この地獄が目に入った。
まず目に留まったのは赤い壁。斑のあるその壁を赤く染めているのは、間違いなく血液だ。
地面の下にはいくつもの亡骸が倒れており、その全ての顔が”絶望”に染められていた。
彼らの一人一人は冒険者ギルドにも依頼されていた失踪者だった。写真で見た姿からはかけ離れていたが……。
縋る様に壁に手を伸ばしていた事から、壁の色は彼らの血液だと思われる。
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