103: ◆b6eNU0rznQ[saga sage]
2015/08/03(月) 03:37:31.83 ID:wSzHfVWm0
ことり「両親のいない子は児童養護施設に入るの、誰も引き取り手がなかったらね」
ことり「穂乃果ちゃんの親戚の人は、みんなもう介護の必要なお年寄りだったり、仕事があったりして、そんなの誰もいなかった」
ことり「だから、仕方ない。そうなる筈だったの、最初はね?」
ことり「そしたらね、突然穂乃果ちゃんが海未ちゃんのところに来たんだ」
ことり「『知らないところに行くのはいやだ、海未ちゃんとことりちゃんと一緒に住みたい』……って」
穂乃果「そんなの言ってない」
ことり「言ったよ」
穂乃果「言ってない!」
ことり「忘れるわけないよ……あんなに嬉しかったんだもん」
穂乃果「……」
ことり「でもね、私と海未ちゃんは普通の関係じゃない、結婚も出来ない、言っちゃえば、変なひとたち」
ことり「だから、ダメだって言ったよ、初めはね。私も、海未ちゃんも」
ことり「でも、穂乃果ちゃんは強情だった『ごはんも、せんたくも、ゆきほのおせわも、全部やるから、おねがい』って……」
ことり「無理に決まってるのにね。そんなの、絶対出来るわけないのにね」
ことり「それでも、その時は信じちゃったの」
ことり「何でだろうね。無理だってわかってたのにね?」
ことり「その間ずっと、穂乃果ちゃんは海未ちゃんの服を持って離さなかったの」
ことり「……それから、何日も二人で話し合った。穂乃果ちゃんの親戚の人とも、何日も」
ことり「……何日も」
ことり「結局、穂乃果ちゃんと雪穂ちゃんの二人は施設に送られた」
ことり「当たり前だよね、そんなの……子供のお願いなんて、聞いてられないよ」
ことり「ずっと泣いてた、会えなくなる訳じゃないのに、穂乃果ちゃんはずっと泣いてた」
ことり「……それから、何日か経った」
ことり「また穂乃果ちゃんが家に来た」
ことり「抜け出して来たんだ」
穂乃果「覚えてない」
ことり「本当に?」
穂乃果「……本当に」
ことり「初めは送り返したよ」
ことり「それでも、2回、3回、4回……何回も、何回も戻ってきた」
ことり「いくら注意されても、何回も抜け出して来た」
ことり「……6回目くらいだったかな……私と海未ちゃんは、決めた」
ことり「……このままじゃキリがない。だから、『一年だけ』……って」
ことり「一年だけ、私たちと家族になって、それで諦めて貰おうって……」
穂乃果「……」
ことり「……だけど、ダメだった」
ことり「穂乃果ちゃんがいなくなるのが耐えられなくなったから」
ことり「一年は二年に、三年に、四年に……」
ことり「……」
ことり「……ごめんね」
ことり「……ごめんね、ごめんね……」
331Res/256.82 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。