過去ログ - 旅人「モンスター娘に殺される話」
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11:名無しNIPPER[saga]
2015/08/04(火) 18:24:46.51 ID:Qo4PdzSj0


青年は、街道の脇に立っていた。人通りはない。

重たい荷物を足元に下ろし、陽射しを、手で遮る。

その視界に一つの影が現れるのと、車輪の音が聞こえだしたのは、ほとんど同時だった。

続けて、蹄の音。

二頭の馬に引かれた荷馬車。ゆるりと進んでくるそれは、やがて青年の目の前で止まる。

青年が、手を挙げて止めたのだ。


「どこへ行くのです」

青年は訊ねる。

「……」

馬車の手綱を握る大柄な男は、細く鋭い目の端で、青年を一瞥。

が、応えない。


「……あの」

「街道を行くんだ。行く先なんて決まってんだろ?」

青年が再び同じ問いを投げかけようとしたとき、声は、荷台から。

「この道はうねりながらも一本道。一山越えた街しかあるまい」

顔を出したその男は、青年よりも、いくらか歳を重ねたか、

落ち着いた雰囲気の旅人だった。




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