過去ログ - 八幡「誕生日プレゼント?」小町「これが小町からの誕生日プレゼントだよ」
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16:黒猫 ◆7XSzFA40w.[saga]
2015/08/13(木) 03:30:37.27 ID:VK9XCbMA0


雪乃「お願いするわ。最後も姉さんにやられたわ」

八幡「気にするな。あの人に立ち向かっても面倒なだけだ」

雪乃「はぁ……、我が姉ながらはた迷惑な人ね」

八幡「あれでもお前に気を使ってるんだろうけど、やり方がな」

雪乃「そうね」


俺は雪ノ下を荷台に座らせペダルに力を込める。
すすすっと回り始めるペダルは、思いのほか重くはなかった。
いつもだったらだるいって文句を言いながらこぎ続ける羽目になっていたのだろうが、
これも緊張による感覚のマヒなのかもしれない。
俺の腰を掴む雪ノ下の両手は、
遠慮がちにしがみつきながらも落ちないようにとしっかりと掴まれていた。
送っていく俺に迷惑をかけないようにとの気遣いも含まれてはいるかもしれない。
だけど、そんな気遣いは無用だ。
二人乗りは小町で慣れているしな。
それにペダルを回す脚は、プールで遊んだとは思えないほど軽かった。
風を切り進んでいく俺達はさっきまでいた海の方を見やる。
木々で遮られていて実際には海なんて見えやしないが、
あそこにいた事実だけは本物だった。
夏のある日、海に来た。
この事実と思い出だけは俺の心に刻まれ続けるのだろう。
来年ここに来るかなんてわからない。
また小町が誘ってくれたら来るかもしれないけど、
今日みたいな特別な感情を抱けるとは想像できないでいた。
だったら今日は特別な日だったのだろう。
そう思うと、軽かったペダルはなおも軽くなる。
その代わりとして、
背中で感じる雪ノ下の重さは腰にまわされた腕と共にリアルに体に刻み込まれていった。










やっぱ近くで見るとでけぇな。
ほんとこんな高級マンションの上層階に住んでるんだから、
雪ノ下ってマジでお嬢様なんだよな。
っていうか、
陽乃さんが帰る時呼んだ運転手付きの車をみりゃあ金持ちだってわかるものか。
まあ、あの車が俺達の最初で最悪な出会いでもあるから、
今も雪ノ下にはわずかながらも負い目があるみたいだが。
目の前まで迫ったマンションの入り口は、
木々に囲まれている事もあってやや涼しく感じられる。
それでも蒸し暑さが容赦なく残り少ない体力を削っていくので、
俺の体力はわりとやばくはあった。


雪乃「……ありがとう」

八幡「いや、問題ない。
   小町に送って行けって言われたし、
   お互い雪ノ下さんの陰謀に巻き込まれた被害者だしな。
   被害者同士助け合うのは当然だ」


俺の口から助け合いなんて言葉が出てしまったせいで、
雪ノ下はぽかんとした口を開け俺を見つめてくる。
言った俺も気が狂っているとさえ思ってしまったが、
そもそも雪ノ下は知らない相手ってわけでもない。
しかも奉仕部で知り合ってからの一年。
色々と助けてもらった事も力を貸した事もある。
だとしたら、一方的な助力を毛嫌いする俺であっても、
雪ノ下相手ならば助け合うなんて気まぐれも、
ありなのではないかと思ってしまっていた。


雪乃「……そう。
   そうね。
   雪ノ下陽乃被害者の会の一員としては助けあうべきね」

八幡「いつ被害者の会が結成されたのかは知らんが、
   俺もそのメンバーなのか?」




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