1:名無しNIPPER[saga]
2015/08/07(金) 22:36:55.74 ID:FqdWahY00
 
 「俺の『超火力魔法』は、30歳を過ぎた童貞にしか扱う事は出来ん」 
  
 ただし、と爺さんは言った。 
  
 「魔法使いとなった童貞は、女子の肌に直接触れると即死する!!」 
  
 「マジかっっっ」 
  
 爺さんは薄汚く、家も財産も持たない人だった。 
 数少ない童貞の友人と共に、鉄橋の下の河原で暮らす人生。 
  
 女に触れないままこの歳になった彼の孤独はいかばかりであったか、うら若き童貞には分かるはずもない。 
  
 ていうか飲み屋で意気投合しただけなんだけどな。 
 主に女なんかみんなクソだ的な方向で。 
  
 二軒目の飲み屋でリア充死ねを連呼していた辺りから記憶がぷっつりと途切れ、気が付いたら爺さんの家で寝ていた。 
 起き抜けで今に至る。 
  
 ちなみに家は段ボールに発泡スチロールの、丈夫かはともかく雨風はしのげそうな構造だった。 
  
 正直なところ完全二日酔いで半ば事態が飲み込めていない。 
 この変な茶番もなるたけ早く終わらせてほしいと思っていた矢先、爺さんは言った。 
  
 「本当にこの魔法を受け継ぐか?」 
  
 「……あい」 
  
 頭痛ってぇ。 
  
 「辛いぞ?」 
  
 「大丈夫ス」 
  
 「じゃあ手ぇ出せ」 
  
 「うぇい」 
  
 爺さんは自分も手を出し、がっちりと握手してきた。 
 何かが伝わったような気がしないでもなかった。 
  
 「はい終わり。これでお前も魔法使いだ童貞」 
  
 「ん……」 
  
 爺さんの声を尻目に、俺は気持ちの悪い二度寝に落ちていった。 
 
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2:名無しNIPPER[sage]
2015/08/07(金) 22:48:23.65 ID:MupDDEVT0
 期待 
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