38: ◆xedeaV4uNo[saga]
2015/08/14(金) 04:42:38.50 ID:vxs29MSN0
「意地なんだろうな。きっと安い意地なんだろうけどさ」
軽く笑ってみせたけど提督は笑わなかった。真顔で聞き返してくる。
「安っぽい意地でケンカしたのか?」
「……そうじゃないけど」
そこで提督は子供っぽく笑った。
「ほら見ろ、安いなんて思ってないくせに」
「う……」
「意地を張ったなら、その意地を安いなんて言うもんじゃない」
「でも……」
「どっちも正しくて、どこかが間違ってるんだろ? だったら全部ぶつけてみるだけじゃないのか」
「だとしても、やっぱり怖いぜ。なんでこうなったか、きっと鳥海にもよく分かってないと思う。それだけにどう転んだって今回の一件は愛想を尽かされるんじゃないかな……」
……鳥海は別になんも悪くなかったんだから。
そう、大元はあたしだ。鳥海の変化を受け入れることができないあたし。
「それはないな。保証したっていい」
「……なんで、そう断言できるんだよ」
「模擬戦が終わったら話してもいいぞ」
「なんだよ、それ。まあいいや、だったら聞かせろよな」
「まずは模擬戦を終わらせないことにはな」
「見てろよな。それと提督、今日は午後もこっちを手伝う……いや、手伝わせてくれ」
「別に手は足りてるが……」
「そう硬いこと言うなって。それに鳥海が秘書艦だったら、やっぱりそうしてただろうしな。それなら、あたしも同じようにしないと不公平だろ」
「……まあ、そこまで言うなら」
「なんだよ、もっと喜んでくれてもいいんだぞ」
「……そうだな」
「いつもみたいに笑ってもいいのに」
明日の模擬戦を気にしてくれてるのか、どこか提督に大人しいものを感じながらも午後も本来の定時まで秘書艦を務めた。
そして翌日。
あたしは模擬戦で鳥海と向き合った。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
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