44: ◆xedeaV4uNo[saga]
2015/08/24(月) 09:48:06.38 ID:aYmvm1JN0
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
鎮守府近海は波も穏やかで海風が心地よかった。
上空には模擬戦の判定を助けるための水偵が飛んでいる。
今回の模擬戦ではあたしも鳥海も水偵からの情報は得られないことになっていた。
模擬戦前の挨拶、ということであたしたちは声が直接届く距離まで近づいていた。
「なあ、鳥海」
「何?」
昨日、あんなことになったから少し気まずい。
怒ってる風でもないのに目を合わせてこない鳥海もたぶん同じように感じてる……のだと思いたい。
「色々あるけどさ」
言いたいことも聞かなきゃならないことも……ええい、難しく考えんな!
「あたしを簡単に倒せるなんて思うなよ!」
「そんなの……」
鳥海は観客席の方を一度見上げてから、あたしと視線を合わせた。
どこを、というか誰を見たのかは分かる。
少し前なら腹を立てただろうに今はそうならなかった。不思議なもんだ……あたしも影響されてるのか?
「私は……司令官さんの前じゃ絶対に負けたくない。たとえ相手が摩耶でも」
妹は本気で言ってる。だったら姉のあたしにできるのは。
「言ったろ、簡単に倒せるなんて思うなって!」
「……ありがとう」
鳥海の感謝の言葉。その意味があたしには分からなかった。
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