40: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 00:31:14.48 ID:s8phhYh5O
凛のその反応に、男は少しだけ口角を上げた。
「身なりも一見崩しているようで実は端正だ。ぴしっとした上着、緩められているが形は整っているネクタイ。
よく磨かれ、潰されていない革靴。僅かな染み汚れも、そして擦れもないスクールバッグ。
手入れされた長く美しい髪もそうだね」
澱みなく、流れるように指摘を重ねていく。
「君が持つiPhoneは一世代前のだが、保護ケースへ入れていないにも拘わらず綺麗な状態だった。
身近にある、頻繁に使う小物さえも丁寧に扱っている。そう云う細かい部分に、育ちの良さが出ているよ――」
まるでエスパーかと思えるほどの指摘ぶりに、凛はだんだんと目を逸らしていった。
ここまで云われては、少し……いや、大分気恥ずかしい。
頬が微かに紅潮していることが、自分でも判る。
「――そんな子の自称する『不良』って云うのは、一種のサインのようなものだ」
「……へぇ、サイン、ね……」
凛はそう返すのが精一杯だった。
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