430: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 05:59:33.57 ID:s8phhYh5O
見送ったのち、視線を下げると、ハナコが不思議そうに、飼い主の表情を窺っていた。
「……ごめんね、ハナコ」
凛は、自らを見上げる小さなヨークシャーテリアを抱き上げた。
ハナコが鼻を近づけて、ぺろっと頬を一度舐める。励ましてくれているのだろうか。
「ステージは、私が最初にやりたいと云い出したアイドル活動の原点なのに……」
ハナコの目を覗き込んで、誰宛ともなく独り言つ。
「そのステージで、結果を出せなかった……」
道路と軍用の敷地を隔てるフェンスに体重を預け、輸送機の去った空を見た。
金網がたわんで身体に食い込むが、その鈍い痛みさえ神経は知覚を放棄している。
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