491: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 16:09:02.00 ID:SScT0J3gO
凛があのとき「悔しい」と何度も繰り返したのを見て、Pは判断を変えた。
これまでは、凛はスカウトで連れてきた存在なればこそ、一定の遠慮がなかったと云えば嘘になる。
492: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 16:09:31.74 ID:SScT0J3gO
レッスンでは、卯月や未央の方が未だ凛より高評価だ。
ことリズム感のみに関して云えば、凛は誰よりも正確に――Pすら凌駕して――刻めるようにはなっていたが、
全体の身体能力を見れば、まだまだ凛には二人より足りない部分が多い。
493: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 16:10:03.97 ID:SScT0J3gO
凛自身、卯月や未央に比べ、三人の中で最も劣っていることを理解している。
より高みを目指すアイドルになるなら、早急にそれを克服することが必要だ、とも。
ただし、つい数箇月前まで普通の女子高生だった彼女にとって、ペースを上げたトレーニングはとても苛烈。
494: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 16:10:33.16 ID:SScT0J3gO
PはPで、如何に凛を援護射撃できるか腐心していた。
担当アイドルをどうやればより高みへ昇らせることができるか。どうやれば雪辱を果たせてやれるか。
495: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 16:11:02.82 ID:SScT0J3gO
そんな折、サマーライブフェスの委員会から最終段階の打ち合わせが入った。
このフェスを成功させることが、とにもかくにも凛を成長させることになる。
だから入念に準備して、やりすぎることはない。
496: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 16:11:36.55 ID:SScT0J3gO
「えっ、それはつまり……」
「はい、CGプロさんは現在三枠ご希望されてますが、それを一枠に収めて頂きたいのです」
申し訳ない、と云いながら頭を下げる姿を、Pは複雑な感情で見た。
497: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 16:12:07.15 ID:SScT0J3gO
「いや、さすがにそれは……」
Pは腕を組んで唸った。
ただ、これまでのやりとりで先方は、救いの手を出したPらCGプロに色々と心を砕いてくれた印象がある。
498: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 16:12:36.62 ID:SScT0J3gO
「うーん、どうしましょうかね。弱りましたね」
Pが書類に目を落として考え込む。
――代替手段や、ピンチをチャンスに活かす方策を練るのが俺の役目だろ、脳味噌を捻り回せ。
499: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 16:13:04.22 ID:SScT0J3gO
大きなイベントで注目度も高い。これはみくと一戦交える絶好の好機だ。
そして、みくに雪辱を果たしつつ、枠削減の要請にも応えられる妙案が浮かぶ。
「……わかりました、私どもへの割当は、一枠に減らして頂いて結構です」
500: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 16:13:32.35 ID:SScT0J3gO
「と、云うわけでさ――」
事務所へと戻ったPは、銅と鏷、そしてアイドル三人を集めて、展開の相談をしていた。
501: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 16:14:02.25 ID:SScT0J3gO
「ユニット化……って、今からやってどうにかなるのか? ピンで演るのとは勝手が全然違うだろ」
鏷がソファの背に身体を預けて問うた。
確かに、自らのことだけを考えればよい独り舞台と違い、ユニットとなると思考すべき事柄が飛躍的に増える。
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