573: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 17:14:33.91 ID:SScT0J3gO
みくもまた、本番が間近に迫り、控室に待機していた。
普段は柔らかい感じの服を着ているが、彼女のアイドル衣装は、逆にシャープな印象を与える。
574: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 17:15:26.82 ID:SScT0J3gO
そんな身だが、昨日は慢心が存在していたらしい。不覚をとってしまった。
今日こそ、いつも通り気張ってゆけば、問題ないはず。
シマへ乗り込んできた者に自分が負けるなんて、認めないし、あってはならないのだ、そんなことは。
575: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 17:16:01.97 ID:SScT0J3gO
「今度こそ負けないにゃ!」
鏡の前に立ち、ガラスの向こう側にある世界の中で立っている自分へ檄を飛ばした。
――出番OKです!
576: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 17:16:39.37 ID:SScT0J3gO
ステージへ飛び出た凛の目の前には、まさに人波が横たわっていた。
背の高さ様々な人々が、ざわめきを発しながらうごめき、それは波と形容するに相応しい。
577: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 17:17:15.58 ID:SScT0J3gO
「ニュージェネレーションの、渋谷凛です!」
凛が右手を天高く振りかざすと、駆け抜ける風に黒い長髪とリボン、そしてスカートがたなびく。
碧い瞳が、髪飾りのワンポイントが、洗練された装いの中で明るく主張している。
578: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 17:18:42.50 ID:SScT0J3gO
――今、自分は、誰も知らない将来のスターを、誰よりも早く見ることができている。
ひしめく客の大半が、その感想を胸に抱いていた。
遠くない未来、きっとこのアイドルは大物になる。そんな予感とともに。
579: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 17:19:16.28 ID:SScT0J3gO
ステップの踏み方、体幹の位置、振り付けの躍動、腹の底から出す声――青木姉妹から受け継いだもの。
そして、ヨーヨーを投げる意識、碁石を置く意識――Pから受け継いだもの。
非常に多くの要素を頭で考えるより先に、凛の身体が自動的に次へ次へと存在を表現していく。
580: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 17:20:02.43 ID:SScT0J3gO
みくは一足先にステージを終えていた。
未だ曲と歓声の流れ続ける方向をちらりと見て、勝敗を探らむとし、途中で止めた。
581: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 17:20:32.44 ID:SScT0J3gO
勿論、みくの本日のステージだって、原宿の箱で演っていた頃よりも大きな動員数を記録した。
だから、みく自身も成功していたのは間違いない。
単純に、ニュージェネレーションの方がより大きく成功しただけに過ぎないのだ。
582: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 17:21:06.41 ID:SScT0J3gO
――
CGプロの事務所、応接エリアに大手雑誌社のライターやカメラマンがいる姿は、どうにも慣れないものがある。
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