64: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 00:49:00.72 ID:s8phhYh5O
  
  
  
 ・・・・・・・・・・・・ 
  
65: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 00:49:31.97 ID:s8phhYh5O
 今日は平日だが、サボタージュではない。 
  
 校舎の耐震チェックだとかなんだとかと云って、授業は午前でお仕舞いだったのだ。 
  
 午後が丸々空くなんてそうそうないから、新しいアクセを見繕いに、デパートをハシゴした帰り。 
66: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 00:50:03.24 ID:s8phhYh5O
 そんな少し不完全燃焼気味の物欲を慰めるべく、iPhoneで近隣の情報をチェックすると。 
  
 「あ、109―マルキュー―で夏物のイベントやってる……」 
  
 ファッション業界はせっかちなもの。 
67: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 00:50:32.40 ID:s8phhYh5O
 と、視界の端にQFRONTビルの壁面ビジョンが飛び込んできた。 
  
 瞬間、凛は足を止める。すぐ後ろを歩いていた中年サラリーマンがぶつかりそうになり、渋い顔をした。 
  
 しかし凛はビジョンに釘付けで、そのことに気付いていない。 
68: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 00:51:04.45 ID:s8phhYh5O
 例のオジサンと話してから、身の回りでアイドルを目にすることが急激に増えた。 
  
 テレビは云わずもがな、雑誌、電車の中吊り広告、デパートに掲示されたポスター、そしてこのQ'S EYE。 
  
 ……いや、ここ数日でアイドル全体の露出が一気に増えるはずはない。 
69: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 00:51:32.56 ID:s8phhYh5O
 画面の中では、天海春香や如月千早と云ったトップアイドルの面々が、縦横無尽に舞っている。 
  
 彼女らの後ろには、凛が見たことのない、若い芽の姿もある。 
  
 そう、こうやってただでさえ狭い階段を、どんどんと新顔が昇って行かむとしているのだ。 
70: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 00:52:02.05 ID:s8phhYh5O
  
 彼女らの勇姿が消え、税務相談の広告に切り替わる。 
  
 凛は、内心ほっとして、交差点傍のガードレールに寄り掛かった。 
  
71: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 00:52:32.10 ID:s8phhYh5O
 絶え間なく動き続ける渋谷の街から切り離されたように、ぽつんと動かない凛。 
  
 まるで彼女の身体だけ時間が止まったかの如く。 
  
 だが、その異質なコントラストは、この日は思いのほか早く終焉を迎えた。 
72: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 00:53:02.10 ID:s8phhYh5O
  
 「こないだもそうだったが、何をするでもなくずっとそこに腰掛けて、一体どうしたんだ?」 
  
 「……アンタには関係ないでしょ」 
  
73: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 00:53:34.80 ID:s8phhYh5O
 「飲むかい? そこのカフェのキャラメルラテ、結構うまいよ」 
  
 男が、利き手にある自分のものとは別の、左手で持っている紙カップを、凛の前に差し出した。 
  
 さすがに行動が非常識すぎて、無視をしようと決めたばかりなのに反応してしまう。 
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