641: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 20:27:11.19 ID:3+pD+bLQo
彼女たちが見えなくなってから凛を玄関までエスコートしたPは不思議そうに呟く。
「あのまゆみちゃん、見た目は不良ギャルなのにいい子だよなぁ」
逆にあづさちゃんは真面目そうだけど一番キワドイ服装だったな、とも。
642: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 20:27:38.83 ID:3+pD+bLQo
この日が答案返却日だったのはPにとってタイミングが良かった。
凛を送迎しがてら、彼女の両親に、越堀高校芸能科への転学を検討する相談を切り出す材料になったからだ。
643: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 20:28:04.91 ID:3+pD+bLQo
担当アイドルの住む家へ上がっての相談――
ファンからすれば垂涎の状況であっても、その席上は難しい議題だ。
凛自身、「ちょっとどうするのが正解なのかわからないな……」と考え込んでしまった。
644: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 20:28:32.24 ID:3+pD+bLQo
寡黙だった父親が、
「まあまだ冬休みに入って時間はある。少しずつ考えて気持ちを固めるといいだろう」
凛にそう告げ、さらに、お前の考えを尊重する、と付け加える。
645: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 20:29:02.42 ID:3+pD+bLQo
数日が経って、凛が終業日をきちんと出席し冬休みへ突入したばかりの昼下がり。
事態は思わぬところから背中を蹴られた。
646: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 20:30:34.41 ID:3+pD+bLQo
そう云って広げたのは二日後に発売予定の、ゴシップで有名な週刊誌の試し刷り。
事前照会のため出版社から送られてきた、独特の光沢ある白黒の写真ページに、でかでかとした表題が踊る。
『――人気急上昇アイドル“R”の黒い交友関係――』
647: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 20:31:02.45 ID:3+pD+bLQo
タイミングとしては、落とした携帯を拾おうとしゃがみ込んでいる刻だろう。
巧い具合にトリミングして、物を拾う行為ではなく、不良同士がたむろしているような雰囲気を演出している。
しかも、まゆみとあづさの口元をわざと少しボカして、あたかも煙草を咥えているかのように見せていた。
648: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 20:31:31.57 ID:3+pD+bLQo
「なんじゃあこりゃあ!!」
Pの怒りの叫び声が、社屋全体にこだました。
――パパラッチ。
649: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 20:32:02.53 ID:3+pD+bLQo
「……社長室案件ですね。俺、行ってきます」
机を叩く勢いで立ち上がったPに、ちひろが告げる。
「Pさん、たぶん行っても無駄だと……思います」
650: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 20:32:32.09 ID:3+pD+bLQo
「……そうか。ついにこの時がきたかね」
社長が自らの机で記事を読み、紙をデスクに放り投げてから、ふぅ、と溜息を一つ吐いて云った。
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