過去ログ - 五十嵐響子「何でもない日、特別な日」
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10: ◆J6sXPQ/xjk[saga]
2015/08/10(月) 15:47:19.36 ID:0slTzf2Do
 気を取り直してパスタを茹でます。袋に表示されている茹で時間の目安は五分、けれど、プロデューサーの今日の気分はどうでしょう、どれくらいの茹で加減が好みかな。

 トマトソースをヘラで混ぜる係を代わってもらい、私はパスタの仕上がりを確かめます。ふつふつ沸くお湯の中からパスタを一本菜箸で取り、口へ運ぶ。

 もぐもぐ、少し弾力のある、硬めな感じです。

「プロデューサーも食べてみてください」

「えっ、待って、混ぜるの止めたら焦げたりしないこれ?」

「そんなにすぐには焦げないと思いますけど……じゃあ」

 再びお湯の中からパスタを取り、息を吹きかけて冷まします。ふーふーしたあとそのままそれをプロデューサーの口元へ。

「プロデューサー、あーん、ですっ」

 これは、ちょっと大胆だったかな。恥ずかしくなってきました、やらなければ良かった!

 だいたい息を吹きかけたものを人に食べさせるだなんて、駄目でしょう、私とプロデューサーはお仕事の関係であってまだ全然恋人とかそういうのじゃないのにこんな事、駄目です、だめだめっ。

 プロデューサー絶対引いてる、気持ち悪いって思ってるに決まってます。

 それでも優しいプロデューサーは、口を開けてパスタが投入されるのを待っていてくれました。優しい、嬉しい、申し訳ない……。気を遣わせてしまいました。

 心の中で謝りながら手首を返し、冷めたパスタは私の口へと運ばれました。もぐもぐ口を動かす私を、プロデューサーが静かに見つめています。照れます。


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