過去ログ - 五十嵐響子「何でもない日、特別な日」
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13: ◆J6sXPQ/xjk[saga]
2015/08/10(月) 15:56:02.50 ID:0slTzf2Do
「髪、下ろしても可愛いな、響子ちゃんは」

「プロデューサーは、どっちが好きですか? 下ろしてるのと上げてるのだったら」

「上げてるほうが好きかな」

 じゃあずっと上げておきます。これは確定です。

 髪の間を指が滑っていき、撫でられているみたいで心地良い。プロデューサーは私の髪を、さらりと一度だけ手で梳きました。

 そうしてから全体を持ち上げ、頭の右側の、高い位置に集めていきます。束ねた髪をゴムで縛り、落ちてくる毛はピンで留め、最後にプレゼントのシュシュで飾る。

 出来た、と小さな声が聞こえました。

「すっごい下手」

「ふふっ、いいんです、ありがとうございます」

 お礼を言って向き合うと、プロデューサーは苦笑を浮かべていました。これはないなと乾いた声で言いながら手鏡を渡され、私はそれを覗き込みます。

「……斬新、で、いいと思います」

「やっぱり響子ちゃん自分でやってよ」

「いいんです、これがいいんですっ!」

「駄目だって、恥かくって」

 プロデューサーがまた髪を解こうと伸ばしてきた手を、必死に掴んで抵抗します。

 駄目です、取っちゃ嫌です、ぜんぜん下手じゃないですもん、私が五歳の頃なんかはもっと飛び立つんじゃないかっていう下手さでしたもん。

 やだーやめてー! 取らないでー!

 抵抗すること二分ほど、攻防は私の勝ちで落ち着きました。私、やるときはやるんです!


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