過去ログ - 提督「戦争は変わった」
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21:名無しNIPPER
2015/08/10(月) 21:52:47.96 ID:wxXWj7PH0
『今や、妖精さんと艦娘の他に軍隊は必要無く、僅かな司令系統の為に存在するに過ぎない。』
『だが、そもそも彼女達は何故その少数の人員を必要とするのか。』
『私たち職業軍人と違い、鎮守府に軍籍を置く彼女達が何故軍本部の指令に異を唱えないか。何故艦娘は半ば個々別に独立した鎮守府に所属しながら、自分達より遥かに身体的・戦力的に劣る司令部に従うか。』
『軍艦としての本能、そんな精神論も"我々"らしいと言えばらしいが…、私は一つの事実に気付いた。』

そこには彼女の予想に反して怒りや怨嗟は無かった。彼の中で、自分が邪険にされていなかったことに安堵を覚える。少なくともそこに艦娘に対する、私に対する恨みごとは無かった。
彼の文字には些かの熱を感じられた。それが何かは分からないが、そこにはたしかに感情が宿っていた。

『戦場が様変わりする転換点には、常に旧来戦法を駆逐する新戦術があった。』
『長篠の鉄砲然り、浦賀の黒船然り。威容を知らしめる何かが、そこには必要だった。』
『だが、艦娘の登場の際には、或いは深海棲艦の存在が確認された時にはそのような悲劇は起きなかった。』
『戦争の歴史を紐解いた際に必ず発生する戦場の転換点、新兵器・新戦術による旧態軍の蹂躙―――成否の判然としない未知の有用性を周知させる戦果―――それが彼女らには存在しなかったことは言い換えれば、』

艦娘の、或いは深海棲艦の発生は確かに今まで知られていない事である。気付いた時にはそうであった。少なくとも、歴史の上ではそうなっていた。

『深海棲艦によって既存兵力を打ち崩される「前に」司令部は彼女らの脅威を認識していたという事である。』

それはカリソメとはいえ共に連れ立った故の勘であろうか。或いは、読み進めてきた思考が導き出した推測だろうか。この一文こそが、意図的に、或いは無意識に、このノートを命より優先した理由であると確信できる。



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