過去ログ - 鷹富士茄子「私を見つけてくれたから」
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16:名無しNIPPER
2015/08/10(月) 23:01:45.93 ID:rSBYzTPg0


「でも、プロデューサーさんは直にそういう体験をしたんですよね?
 だったら聞きたいじゃないですか。身近な人がそういう非日常の体験をしたっていうのなら」

「そういうもんですかね」

「そういうものですよ。あ、そういう経験をしたという事はプロデューサーさんは霊感とか持ってるんですか?」

「いえ今は……でも、昔は見えていたらしいです」

「え、見えるんですか?」


千川さんが身を乗り出す。


「昔の話です。そう親からは聞きました。まぁでもよくわからないですけどね。
 何を見たのかっていうのは一つを除いて全然覚えてないですから、そういうのがあったのかすら曖昧で……」

「ほうほう。じゃあその一つっていうのがアレですね?」

「まぁ……千川さんが期待してるような、世間で言う怖い話……ですかね」


俺がそう言うと千川さんは心底楽しそうに「ほほーう」と嘆息にも似た声を漏らした。


「じゃあ、そのプロデューサーさんが経験した怖い話を一つ、お願いします」


そして飲み物を売って利益を得た時に浮かべる笑顔と同じくらいの眩い笑顔でお願いをしてきた。
仕方あるまい。俺は小さく咳払いをして、あの夏の出来事を思い出す。
覚えている。細部すら忘れようとしても忘れる事が出来ないでいる記憶。
手繰り寄せるまでもなく、すらすらと浮かんでくるあの時の景色達。
何もかもが煌びやかで、輪郭が溢れて、そして何よりもどす黒い思い出。


「……あれは、俺がまだ小学生の時の話です」




――


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