過去ログ - 鷹富士茄子「私を見つけてくれたから」
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37:名無しNIPPER[saga]
2015/08/16(日) 05:24:16.83 ID:6kfpk/gV0

じゃあすぐに行って遊ぼうと言うと、女性が「ちゃんと私を見て、ついて来て下さいね〜。あっちは見ちゃ駄目ですからね」と、
後半は何だか少し本気の声色で言って、俺を伴って歩き始めました。
向かう先は怖い社で無い方の、剥げた丹塗の社の方。
ここも神様の家じゃないのか、大丈夫なのかと一瞬思いましたが、女性は正しく勝手知ったる我が家と言わんばかりに、
その建物の入り口を開けて俺を招き入れました。中に入ると、俺はその様子に驚きました。

正面奥にある立派な祭壇や、高い天井に華美に施された朱や金の細工などにも後々感心をさせられましたが、
この時、俺の目に入ったのは床に無造作に散らばる遊具や楽器の数々。
小鼓やら琴やら、毬にお手玉、本の類までずらりと、というかばらりと。
明かりは入り込む陽光だけという、若干薄暗い部屋の中心以外の床を覆う程に。


「遊べる物はいっぱいありますよ〜」


と、呆気にとられる俺を見て自慢気に女性は言う。
俺はおずおずと部屋の中央まで抜き足で行き、周りの物をぐるぐると首を回して見渡しました。
当時、俺が遊びでやっていたのと言えば野球やら鬼ごっこやらが主流でしたから、
周りに溢れている玩具や何かを見て、何だか酷くタイムスリップさせられた気持ちになりました。
けん玉とか独楽とか毬だとか、そういう物は親の世代の物だと思っていましたから。親の話で聞いたり、少し触らせて貰ったりとその程度。
単に走る事が好きだったから、鬼ごっことかそういうのばかりをやっていたのもあるのでしょうが、俺には縁遠い物ばかり。

女性はと言うと、物珍しい物を見つめる俺の横をすすすと通り抜けて俺の前に座って両手を広げ、
「さぁ〜、何で遊びましょうか〜」なんて眩しい笑顔で言う始末。
こういう手遊びは性に合わなさそうだなぁと思いつつも、一緒に遊ぼうと言った手前もう退けず。
俺も彼女の前に座り込み、さてどうしたものかとまた周りを見渡しました。



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