過去ログ - 鷹富士茄子「私を見つけてくれたから」
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75:名無しNIPPER[saga]
2015/09/08(火) 00:01:41.34 ID:CDWU1HmG0

父達に女性の特徴を説明しようとした時、気付きました。
あの女性の顔立ち。それが思い出せない。名前も何かで聞いたような気がするのに、全く思い出せない。
名前を言おうとする。でも口に出す事が出来ない。
喉の奥まで出かかっているのに、あと一歩のところで圧し留められる。
納得のいかないまどろっこしさ。一体どうしてしまったのか。
あれだけ一緒に遊んだのに。あんなに優しい人だったのに。


「どんな人だい?」


丘に上がった魚のように声を出さずに口を開けては締めを繰り返す俺を見かねたのか、横に座って見ていた祖母がずいっと近くに来て尋ねてきました。
しかし、説明しようにも顔も名前も思い出せない。
覚えているのは、燃えるような紅い着物を着て、綺麗で優しくて面白くて、温かい人だったという事だけ。
とにかく、紅い着物を着ている綺麗な人だったが見なかったかと言いましたが、父も、まだ泣いていた母も、祖母もそんな人は知らないと。
何度も何度も聞きましたが、結局誰もわからず。挙句には母がもしかしてその人がお前を誘拐したのか等と言い始めたました。


「そんなんじゃないよ!」

「じゃあ誰なんだいその人は! そんな着物着てる人、この島にはいないよ! 祭りの時も!」

「それは、その……あの神社の人だから……人のいる所には来ないって……」


俺がそう言うと、いつも目があまり開いていない祖母の目がカッと開かれ、
またずいとこちらに詰め寄ってきました。



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