25: ◆LbR.dnl/161l[saga]
2015/08/11(火) 05:16:48.79 ID:MKhqyQX10
「でもこう……この世の全てに諦めをつけたかんじがしててさ。若くて、綺麗なのにもったいないなって思ってさ。」
全てを諦めていたということを見透かされていたことに少し恥ずかしさを覚える。
「……なんかその言い方はおじさん臭いね。」
だからちょっとした意地悪を言ってしまう。
「何を!!俺はまだ20代だい!!」
「いや知ってるけどさ……。」
「まぁ、何よりさ。」
プロデューサーは一呼吸おいて。
「俺が凛の笑顔を、いや凛自身を見ていたいなって思ったんだよ。」
そう言った。
「凛をみた瞬間に周りが色あせた。凛しか視界に入らなくなった。目が吸いつけられて離れなくなった。……まぁ有り体に言えば一目ぼれしたんだよ。」
いきなりそんなことを言われても困る。自分の顔が気恥ずかしさでどんどん赤くなっていくのを感じる。
「そんな子の目が死んでるんだぜ?どうにかしてやりたいって思うのが男だろ?」
普段なら絶対に言わないような男らしい言葉に思わずどきりとする。
「凛をスカウトしてよかったよ。今は凛がファンや事務所のみんなに笑顔を見せてくれる。ありがとな、凛。」
感謝をするべきなのはこちらなのに、プロデューサーは私にお礼を言った。
色々伝えたいことはあるけれど、今はさっきのプロデューサーの言葉のせいでうまく言葉が紡げそうにない。
だから、
「ありがとね……プロデューサー。」
だからせめて、一番伝えたいこの言葉だけは伝えよう。
「こちらこそ。これからもよろしくな。」
「うん。」
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