過去ログ - 仮面ライダーぼっち&ぼっちライダーディケイド(完結編)  
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197:くすっち天頂@公認ぼっち党員 ◆A9VvCAXQOewN[saga]
2015/09/29(火) 12:54:12.92 ID:AuVSUEXb0
「ええ、また」

他愛もないことではあるが、『また』と言いあえる関係もなかなかいいものだと俺は思った。

ぶらぶらと歩いていると、案外あっという間に時は過ぎる。

「そろそろだな」

俺の午後からの仕事後半は、体育館でのタイムキーパーだ。

有志のバンドなどは時間オーバーすることが多々あるので、しっかりと制限時間を伝える人間

が必要なのだ。

ていうか聞かない人間には言っても無駄だと思うんだけどな……。この仕事本当にいるか?

まぁ、文句は言うまい。社畜は黙って働くからこそ社畜なのだ。

体育館に近づくと、観客の耳を割くような叫び声が聞こえてきた。

ステージに立っている人間を見て俺は驚かずにいられなかった。

「雪ノ下、陽乃……」

どこまでそこが知れない奴なのだろうか。ベルトを破壊しても、あの世界で倒しても、蘇る。

こんなの、反則だ。

と、そんな時見知った姿を見つけたので俺はそいつに歩み寄った。

「よぉ、雪ノ下」

「比企谷君……」

「案の定というかなんというか、生きてたな」

「……ええ」

彼女の顔が暗くなったので、俺はこの話題を打ち切ることにした。

「それにしても、すげえな、あいつ」

雪ノ下陽乃は管弦楽部のOB、OGを集めて、自身は指揮をしている。

観客は一体となって、競うように叫び声をあげている。

そこにいる人間を無理やり取り込んで内輪にしてしまうと言うか、何というか。

そしてそれに乗ってしまうのはあの楽団の実力と、そして何より雪ノ下陽乃の圧倒的なカリス

マ性だろう。

「……わ」

周りの声にかき消されそうな小さな声で、彼女は呟いた。

「あん?」

「流石だわ、と言ったのよ」

「意外だな、お前が素直に褒めるなんて」

「これでも、あの人のことは評価してるのよ……長い間、追い続けていたわ」

「私もああなりたいと、願っていたものよ……」

「なんなくていいだろ。お前は、お前のままでいい」

雪ノ下自身は気づいていないかもしれないが、彼女は遥かに姉よりも魅力的だ。

そんな彼女があんな奴に穢されるのを、黙って見ていることなどできない。

「お前はずっと、お前のままで……」

そのつぶやきも観衆達の声でかき消されてしまったのか、雪ノ下から返事は無かった。

俺のタイムキーパーとしての仕事は終わり、今再び記録雑務として、ステージの様子を収める

ためカメラを構えている。

充電を終えたインカムを整理していると、雪ノ下があっち行ったりこっち言ったりと非常に目

障りだった。



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