過去ログ - 仮面ライダーぼっち&ぼっちライダーディケイド(完結編)
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くすっち天頂@公認ぼっち党員
◆A9VvCAXQOewN
[saga]
2015/09/29(火) 13:01:12.66 ID:AuVSUEXb0
「……はっ、やっぱりか」
「俺は英雄になる男だ。その世界に、お前はいらない」
そう言って葉山はくるりと踵を返す。
「英雄なんてなりたいと思ったことなんて無いからよくわかんないけどよぉ、俺にも一つわか
ることがあるぜ?」
葉山がその足をとめた。
「英雄ってのは、なろうとした瞬間失格なんだよ。お前、いきなりアウトってわけ」
葉山は黙って振り返り、親の仇でも見るかのような目で俺を見た。
「お前には一生、わからないさ」
葉山は言うと、黙って再び歩き出す。
その背を追う者は、もういない。
体育館に向かう足は自然と速くなる。
校舎全体に響くかのようなベースとドラム。
腹の底にまで響くような振動は、しかしその音だけではない。
歓声だ。
打ち鳴らす手、踏みしめる足、そして大きな叫び声が、空間にビートを生み出す。
俺は体育館の扉に手をかけた。
聞こえてきたのは、二つの歌声。
聞くもの全てを勇気づけるような由比ヶ浜の明るい声と、ただひたすらに美しい雪ノ下の美声。
『朝焼けに包まれて走り出した行くべき道を情熱のベクトルが僕の胸を貫いていく
どんな危険に傷つくことがあっても!』
やりたい放題のリズム隊を牽制するかのように正確なギター。
いつの間に着替えたのか、全員おそろいの服を着ている。
それはしかし、彼女達の正体を知っている物からすれば、どこまでも滑稽なものかもしれない。
命をかけて、願いをかなえるために殺し合うライダー。
その四人が、今同時に音を紡いでいる。
プロさながらの、いや、アマチュアだからこその熱狂。
今この瞬間、闇の中で誰もが一つになっている。
『夢よ踊れ、この地球(ほし)のもとで。憎しみを映し出す鏡なんて壊すほど。
夢に向かえ、まだ不器用でも生きている激しさを体中で確かめたい』
俺が入ってきたことになど誰も気づかない。
ステージの上からなど、到底見えないはずだ。
『愛を抱いて、今君の為に。進化する魂が願っていた未来を呼ぶ』
長かった文化祭の終焉。
これですべてが終わる。
俺の仕事は、記録雑務だった。
だからせめて、覚えていよう。
彼女達の姿を、その音色を。
ただ一人で、一番後ろで壁に寄りかかって見ているだけだけど。
でもきっと、いや、決して忘れない。
エンディングセレモニーはつつがなく行われている。
相模のあいさつは目も当てられない散々なものだったが。
とちる噛むは当たり前。
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